7 ページ33
*
「ほんとう、に…？」
「ふふ、うん…。どうしてあの時あんな言葉しか裕翔くんにかけられなかったんだろうって思ってた。だから裕翔くんがそんな俺に愛想つかしちゃったかもしれないって考えて、何度も泣きそうになった。」
裕翔くんを突き放してしまったあの時にはもう、自分の気持ちが明らかだったのに背を向けて、裕翔くんを傷つけることしか出来なかった俺を許して欲しい。
「俺も…、涼ちゃんを忘れたことなんて1度もなかった…。会いたくて、堪らなかった。涼ちゃんが俺が会いに行かなかった間も俺のことを考えてくれてたのは嬉しいけど、でもやっぱり、会いに行けばよかった…。」
「ううん、この時間が、俺たちには必要だったのかも。」
俺たちの間に、秋の風が優しく吹き抜けていく。
3年という月日の中で、俺たちは互いを思い合って過ごしていたって、、それってすごいことだと思う。
あれから、裕翔くんだけじゃなくて、俺も少しは大人になったよ？
でも裕翔くんの方が、俺よりもずっと大人になってしまったかもしれない。
『俺がもっと大人になればいいの…？』
『大人になったら、いい、かも…ね？』
卒業式の前日。
あの日交わした言葉、裕翔くん覚えてる？
ねぇ、裕翔くん。
もう1回、俺にチャンスをください。
もう1回、俺に…、、
「好きだよ、涼ちゃん。」
今度こそ、胸を張って、言えるから。
「俺も、、すき、だよ…、裕翔くん…」
何度も遠回りをして。
お互いに何度も泣いた。
でもその時間が、俺たちには必要だったんだ。
大人になるための、時間が。
「涼ちゃん…っ！！すき、すき、大好きだよ、もう絶対に離さないから、ね…？」
「あの頃よりもっと歳とっちゃったけど…俺が何歳になっても、好きでいてくれる…？」
「当たり前だよ…おれ、涼ちゃん以外好きになれないよ…。それに、好きになるのに歳は関係ない、からね？」
何年の時を経て、初めて交わしたキスは、ちょっとだけほろ苦くて、涙の味がした。
Fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも(プロフ) - もう何度読んだかわかんないくらい読みましたけど、アタシも噂のふたりを観察したいし会話を盗み聞きしたい〜！！！どのゆとやまちゃんも最高に可愛かったです (2019年12月12日 10時) (
レス) id: 1da0e85042 (このIDを非表示/違反報告)
りょうぱち(プロフ) - あいさん» ありがとうございます〜！陽キャな2人を書けて良かったです！ (2019年9月29日 22時) (レス) id: 73438a5746 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 陽キャゆとやま最高です！！りょうぱちさんのゆとやま大好きです！ (2019年9月29日 12時) (レス) id: e3aa8eb60d (このIDを非表示/違反報告)
りょうぱち(プロフ) - 山受け信者さん» こちらこそ、リクエストありがとうございます！ (2019年2月16日 17時) (レス) id: 73438a5746 (このIDを非表示/違反報告)
りょうぱち(プロフ) - 山受け信者さん» コメントありがとうございます^^*リクエストなさってくれるなら是非とも書かせていただきます！ちょうど次のお話何にしようか悩んでいたところなので…！笑 いつもありがとうございます^^* (2019年1月19日 23時) (レス) id: 9cecffa59a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りょうぱち | 作成日時：2018年12月21日 19時
