特別な日だから【孤爪研磨】 (ページ6)

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『研磨、』

「なに？」

『今日は遠回りして行こう』

「え…？」

部室に行こうと準備をする研磨から疑問符が漏れた。

私とて、ただ気分で遠回りに誘ったわけではない。

皆が部室を簡単に飾り付けする時間稼ぎだ。

教室を出て、いつもとは反対方向に足を進めた。

「…どうしたの、急に遠回りなんて…」

『たまにはいいでしょ』

「早く行かないとクロに怒られる…」

『大丈夫だって』

そうしてしばらく2人とも黙ったまま歩いていたが、校舎裏へ出たときに研磨が口を開いた。

「何か企んでるでしょ…」

『いや？そんなことない…よ？』

「嘘。またどうせクロが…」

『はいはい、その話は後でー』

「ちょっ?!」

暴かれる前に研磨の腕を引っ張って小走りで部室棟まで急ぐ。

他の人に比べると少し細く見える腕も、私よりは全然ガッチリしていて、「男の子なんだな」と感じた。

「A…！」

『っゴメン、痛くなかった…？』

「痛くはないけど、突然腕掴まれたらびっくりする…」

そう言った研磨にもう1度謝罪の言葉を述べて、私は部室の扉を開けた。

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