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(67)事実と心情 ページ28

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扉の開く音がしたのでAが顔を上げると、中也が帰ってきていた。
中也を見たAは何も言わずに書類に目を落とした。

きっと、中也が言い出す迄待っているのだろう。

其れを知ってか否か、中也も直ぐに話し出した。



「A、」

『ん』

「来週から、手前に個室が与えられる」

『ふーん…え?個室?』



バッ、と中也の方へ向き直るA。
中也も確りとAの方を見ていた。

「おう、手前だけの執務室だ」と中也。



『…何でこんな急に?』



純粋な疑問をぶつけてくるAに、中也は言葉を詰まらせた。

決心はついたじゃねーか。だから戻ってきたんだろ。と自分に言い聞かせ、中也は息を吸い込んだ。








「俺に、嫁ができる」








『………え…?』




何だよ其の顔。
此処は大笑いしながら揶揄う所だろ。

予想とはまるで違った反応を示したAに、中也もどうして良いか判らない。
何時もの様に莫迦笑いしてくれたら楽だったのだ。
只「巫山戯ンな」と云って怒るだけで良かったのだから。

此れじゃあ、此方だって如何反応すれば良いか判らないだろう。




「驚いたか?政略結婚ってヤツだ。笑えンだろ」

『嗚呼、吃驚だよ…可笑しすぎて笑いすら起きない。政略とは云え、此の中也に女ができるなんて』

「どういう意味だコラ」




別に?と何時もの腹立つ笑みを浮かべたAに青筋を立てた中也だが、其の反面、Aの何時もの笑みに安心していた彼も居た。

気が早いのかさっさと出たいのか知らんが、Aは備え付けの本棚から自身の本を取り出していく。



こうして、最後には初めから此処に居なかったように何も残さず行ってしまうのだろうか。

其処へ新しい名も顔も知らない女が突然遣って来て、壁紙を張り替えるように、Aの痕跡を完全に消すのだろうか。




「……何か、」





寂しい…?


否、真逆な。





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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時

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