(番外編)Thank you for your! ページ20
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事件から2日後、Aは紙袋を片手に拠点の廊下を歩いていた。
心做しかその袋からは良い匂いが漂っているように思える。
『皆居るかなぁ…仕事前に渡そうと思って早起きしたけど…』
病み上がりのAと出張上がりの中也以外は多分今日も仕事があるだろう。
態々休みの日にAがマフィアを訪れたのには勿論理由があった。
「…あれ?Aじゃあないか」
『あ、カジー』
「今日はまだ休みじゃなかったっけ?」
『まあね』
Aは紙袋から丁寧にラッピングされた小さな袋を1つ取り出して梶井に渡した。
「カップケエキ?」
『そ、解毒剤造って打ってくれたお礼に。ありがとーございました』
「急いで造ったから半分賭けだったけど上手くいったようで良かった!科学の力は無限だ…」
『じゃ、私他の人の所も行かなきゃだから』
何時もの様に語り始めた梶井を無視して、Aは次の人物の元へ足を進める。
次にやって来たのは芥川の執務室だ。
『失礼しますよーっと』
「…Aさん!!!」
「体調の方はもう宜しいのですか」
Aを見るなり声を上げて立ち上がったのは樋口だ。
一方、芥川は落ち着いた風貌でAを見つめた。
『全然元気。コレ、此の前のお礼。少しだけど』
「え?わぁ…良いんですか?態々ありがとうございます!」
『否々、此方等こそありがとうね。はい、芥川くんにもあるよ』
「僕は感謝される事など何も…」
『こういうのは黙って貰っておくものだよ』
「……ありがとうございます」
柔らかい雰囲気に包まれた執務室に別れを告げ、其処から然程遠くない黒蜥蜴の控室へ向かった。
『広津さん、銀ちゃん、たっちー、おはよ〜』
「Aさん、今日はお休みと聞いておりましたが?」
「…!」
「たっちー!!?」
飲んでいた珈琲を置いて律儀に立ち上がる広津。
Aの姿に目を見開く銀。初めて呼ばれた呼び名に驚きを隠さない立原。
其ンな3人にもカップケエキを手渡す。
『助けてくれてありがとう。貴方達が居なかったら死んでたよ』
「御無事で何よりでした」
「間に合って良かったです」
「……」
すると銀がAに近付き、その耳元にマスクで覆われた口を寄せた。
「………ありがとう…ございます…」
『!!どーいたしまして!』
此処が泣く子も黙る闇組織とは思えないほど、笑顔が溢れた平日の朝であった。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時