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(86)ゼロ ページ47

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Aの失踪から1週間、事態は一歩も進んでいなかった。

マフィアの勢力を以てしても掴めない居所とは一体全体何処なのだろう。

疑問と不安、そして怒りは募るばかりで、中也の眉間には1日中と云っていい程に皺が刻まれていた。

とはいえ、彼も五大幹部の一角。
Aの捜索に費やせる彼の時間は極僅か。

それもたぶん、焦りに直結しているのだろう。

然し、そんな彼の頭には1つの仮説が浮かんでいた。



「…組合…か…」

「…中也さん?」



若し、此の前陽和の話に聞いた都市伝説が、既に羽須美と手を組んでいたら。

若し、何処かから3人の密かな作戦が漏れていたら。

若し、陽和と俺を婚姻関係にする上で、Aが邪魔な存在だと認識されていたら。


可能性はゼロじゃない。



「組合…羽須美…」



突如難しいで云々(うんうん)唸り始めた中也を、陽和が訝しげな顔で見ている。

組合と羽須美…?
彼が何を考えているのかはサッパリ判らないが、何か胸騒ぎがした。



「…よし」

「中也さん、どうしました?」

「悪りィ陽和、少し出掛けてくる」

「何処へ行かれるのか、訊いても?」



陽和が訊ねると、中也は振り返らない侭もう一度彼女に謝って、そのまま行ってしまった。

任務へ向かう時とは明らかに違う、殺意にも似たような気迫を纏っていた彼がこれから何をしに何処へ行くのか。

良い事ではないのは確かだが、其れ以外は想像がつかなかった。


………____________



「ポートマフィアのじゃじゃ馬姫がこんな簡単に捕まるとはな」

『(誰が"じゃじゃ馬姫"だ…)』



目隠しをされている為、姿は見えないが、随分鼻につく声だ。

自信に満ち溢れた、上から人を見下すような声。
聞いているだけで苛々する。



「君も真逆、相棒の結婚式を直前に攫われるとは思わなかっただろう?エ?別に何もしないからそろそろ口を開き給え」


男が近付いて来て、頬を撫でた。
Aはさも不愉快そうに其の手を払い除ける。


『そうだね、思わなかったよ。何もしないと云ったなら黙ってくれ』

「ほう?そんなに迷惑か?」



『嗚呼。特に其の下手糞なクセに見下すような日本語…反吐が出そうだ。"異国人"』


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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時

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