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＊迅＊
「A！あーそぼっ」
返事が無い。
「A〜？……あ、」
椅子の前へ周ると、本を読んでいたように見えた彼女は静かに寝息をたてていた。
迅はしゃがみこんで興味深そうにその顔を覗き込む。
「"可愛い"……って、こういう時に使うんだよね」
小さな呟きも眠っている彼女には届かない。
最近はアークの意志のまま、あちらこちらへ足を運んでいたし、人間であるAには疲れが溜まっているのだろうと彼は思った。
人工物である自分とは違う彼女の肌、閉じられた瞼、それに生える長い睫毛、血の通った唇。
まるでその全てに引き込まれるようで。
「……ずっと見てられそう」
＿＿触れたら壊れてしまいそうなのに、触れたくなる。
思わず伸びた手を彼女の頬へそっと添える。
そのまま吸い寄せられるように迅は、静かに顔を近づけていった。
もうあと10センチ足らず、というところで、Aの手から本が滑り落ちた。コンクリートに叩きつけられた音が閑静な室内に響く。
そのせいか否か目覚めたAはゆっくりと瞼を開けた。
そして、目前に迫る迅の顔に動揺もせず、寝起きの掠れ声で小さく「何してんの」。
「見てた」
「こんな間近で」
「うん。誰より近くで見てたかったの」
この間も、2人は間近で見つめ合ったまま。迅はずっとAの頬に手を添えたまま。
「A、可愛い」
Aはふと"可愛い"の意味を頭に浮かべた。昔、暇つぶしに読んだ辞書に「�／爾ぐ�情をもって、大切に扱ってやりたい気持ち」とあったのを思い出す。
そう考えると、誰かに可愛がられた経験があまり無い事も。自分が生まれ変わるキッカケまで色々と思い出してしまい、Aは軽く目を伏せた。
すると、彼がまた距離を詰める。
「A」
「な………に、急に」
「もう二度とあの日屋上でした顔はさせないよ」
距離がゼロになった衝撃でAの涼し気な顔は崩れている。冷静なのは口だけで、頬の温度が上がったのを彼の掌はしっかりと感じた。
「言葉の意味は最近知ったばっかだけど、たぶんキモチはずっと変わってない。僕、あの日からずーっと、Aが"好き"」
「だからギュー！」とわけわからない事を言って抱きしめる彼が数秒前までしていた、真剣でどこか色っぽい眼差しと表情。Aはこの日からずっとそれらを忘れられなくなってしまった。
彼と違って、脳にメモリーはないはずなのに。
＊＊＊
アレの後日談。
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ゆのみ(プロフ) - 蒼空さん» 遅くなってすみませんでした！そう言っていただけて安心しました……(泣) (2021年2月25日 23時) (
レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - リクエスト答えていただきありがとうございました！いやもう最高です……！表現がおしゃれだし神がかってて本当にキュンキュンします…。 (2021年2月25日 22時) (レス) id: 9ca5b9580d (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - しゃんはいさん» こちらこそありがとうございました！そんな褒め方されたら泣きます(T_T)これからもよろしくお願いします！ (2021年1月12日 15時) (レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
しゃんはい(プロフ) - リクエストに答えてくださってありがとうございました！ゆのみさんのお話はリアルさの中にあるきゅんという感じですごく大好きです！！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: 4db072daa3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - さくらさん» 初めまして。少しお待たせしてしまうかもしれませんが、ぜひ書かせていただきます！ありがとうございます！ (2021年1月9日 23時) (レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆのみ | 作成日時：2019年12月29日 0時
