きっと其の六十三 ページ13
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「つまり黒の女王の正体は、A君が無意識に押し殺してきた"感情"だったわけか……」
「はい、そのようです」
「なるほど。私ももっと気にかけてあげるべきだったな……これではキャロルさんに怒られてしまうね」
そう言って、首領は苦笑した。
「何はともあれ、彼女を救ってくれてありがとう。これからの君たちの更なる活躍に期待しているよ」
「はい。ありがとうございます」
部屋を出て廊下を歩いていると、少し先に見慣れた後ろ姿を見つける。俺は少し足を早めて追いつき、背後からその腕を掴んだ。
刹那。
＿＿＿＿＿パシッ
その手は振り払われる。
俺の手を払うと同時に振り返った其奴は、俺の顔を見るなり青褪め、微かに声を震わせる。
「幹部……？！すみません、とんだ御無礼を……」
「嗚呼、全くだ」
誰だって後ろから急に腕を掴まれたら驚くし、裏社会に身を置く人間がとるには当たり前の行動だ。俺だってわかっている。だからそれが"無礼"だとは思わない。何ならこの場合、俺が悪い。
ただ、そうとわかっていても尚、その行動をとったのには勿論理由がある。
「A手前……あからさまに避けてんじゃねえよ」
「そ、そんなことは」
「ハァ？しらばくれんな。昨日なんか任務終わったあと俺に話しかけられないように秒で帰ったろうが」
Aの家へ乗り込んだ日から早くも2日が過ぎていた。首領への報告が遅れたのは単純に、互いの予定が合わなかったからだ。個人に関わる話だし、直接の方がいいと両者が判断した結果だった。
話を戻すと、その2日の間、彼女は何かと俺を避けて行動するのだ。会話なんて任務時や業務報告などの最低限のものに留められ、用事が済めばサッと俺の前から居なくなる。以前と明らかに態度が違う。
1日だったらまだ偶々だと考えられることもなくないが、今日で3日目だ。理由も分からず避け続けられた俺には苛立ちが芽生えてくる。
「気のせいですよ……それじゃ……」
「待てっつってんだよ……！」
ドン、と壁が鳴った。
幸い壁が凹んだり、傷がつくことはなかった。
進行方向を遮られ、目を丸くするAの肩を中原は押した。
壁に背を貼り付ける体勢になったAは、恐る恐る目の前の男の顔を見る。眉間には深い皺が寄っていた。きっと刃物のように鋭利な眼光でこちらを睨みつけていると思った。
確かに彼の顔は怒り顔だったが、その瞳にはどこか、寂しさが滲んでいるように見えた。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - カンナさん» ちょっと……涙が出そうです……ありがとうございます。お待たせしました(> <) (2020年6月16日 19時) (
レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新楽しみにしていました。おかえりなさい(*´ω`*) (2020年6月16日 18時) (レス) id: 5ade983ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆのみ | 作成日時：2019年5月11日 13時
