きっと其の四 ページ4
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スマホのアラームが鳴って、重たい瞼を無理矢理開けた。それでも未だ半分ボヤケた視界をソファの方へ向けると、其処には口を半開きにして眠る立原しか居なかった。
一寸面白かったので写真に収めて後で本人に送り付けよう。
さて、今日は朝から任務がある。早めに起きて身体を動かさないと、
グッと伸びをして、朝の支度をすべく手洗いヘ向かう途中、
「お早うございます、姐さん」
「お早う。今朝の任務、頼んだわよ」
「承知」
姐さんは普通に可愛いと思う。
まァ、芥川さんが好きすぎるのが玉に
玉に瑕、と云う言葉に中原幹部が思い浮かぶが、あの人の瑕は何だろう………嗚呼、身長だな。
本人に悟られたら何ともまあ殴り殺されそうだが、心の中の話なので心配ないだろう。先程も云ったが、玉は玉。美男は美男である。
顔を洗って、歯を磨き、髪を整え、化粧を終えた頃には、他の構成員たちが同じ目的の為に手洗いを訪れていた。
「聞いてよ。今朝ね、中原幹部に会っちゃったの!」
「えっ、いいな〜。声掛けたの?」
「ううん、少し離れてたから…」
それは『会った』ではなく『見かけた』だろ。
瞬時にそう思ったが、勿論何も云わずにその場を後にした。
「はぁ……」
「んだァ?朝から溜め息とは」
「…お早うございます」
「おー、お早う」
『会う』というのはこういう事を指す。
真逆、昨日の今日で此処まで遭遇率が上がるとは。
いや、今までだって廊下ですれ違う事はあった。だが、こうして足を止め、挨拶以上の会話を交わす事は前代未聞。職場という場所のせいなのか、何だか昨日より少し緊張する。
「これから任務か?」
「ええ、幹部は?」
「書類の始末だ」
幹部が面倒臭そうに云う。
「お疲れ様です」
「これからだけどな。手前も頑張れよ」
「……はい…」
去り際にポンと頭を叩かれたせいで、一瞬呼吸が止まった。昨日から振り回されっぱなしでどうしようか。
「あ、居た、A。打ち合わせ始まる……って、どうしたンだよ?」
「…何でもない。わかった」
立原が不思議そうな顔で呟いた。
「顔真っ赤」
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2018年2月5日 0時