(29)可愛気 ページ32
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…またやってしまった。
そう気づいたのは扉を閉めてからだ。
いつもそう。気付いた時には既に遅い。
彼奴は私を心配してくれただけなのだ。
それなのに、私はまた自分の感情だけで動いた。
完全に八つ当たり。
中也は何も悪くない。悪いのは私だ。
『本当、可愛気の無い女…』
「…そんな事ないと思いますよ」
思わず呟いた言葉に否定が返ってきてびっくりする。
スーツ姿の金髪を団子に結った彼女はそこに立っていた。確かこの前、芥川くんの部下として加わった子だ。
名前は________
『樋口ちゃん…』
「私はまだ此処へ来て間も無いですが…私はAさんの素敵な所、沢山知っています」
そう云って笑う彼女はとても可愛かった。
『ハハッ、またまた……ありがとう』
「いえいえ。ではまた」
走り去る小さな背中に元気を貰いながら、これから如何したものか考える。
…いや、考えるまでもないな。
廊下を引き返して、執務室の前までダッシュで来た。
思い切り閉めた扉を次は思い切り開けて……
…あれ?
『…居ねェし!!!』
何で居ないんだ彼奴!何処へ行った!
「ちょっと…幹部様の執務室の扉を開け放ってていいのかい?」
『あ"?…って何だよカジーかよ』
「"い"を発音してくれないかな」
『カジーい』
「もういいよ」
諦めたように溜め息をつくカジー…いや、梶井。
『そんな事よりさ、中也知らないかい?』
「中原さんなら先程出ていったよ」
『何処へ』
「其れは判らない」
だよなぁ……
幹部が任される任務を知る事は容易じゃない。
てか抑々任務なのか?
『そっかぁ…』
「眉間に皺が寄ってたけど、仲直りは早めにね」
『嗚呼…うん』
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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時