(27)再会 ページ30
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報告も終わり、無事にエリス嬢からも開放された私は暇を持て余していた。
適当にブラブラと街を歩いていると、突如何者かに腕を引かれる。
「来るな。この女が如何なっても良いのか」
路地裏に連れ込まれたかと思えば、次いで首元に突きつけられたナイフ。
此奴、誰にこんな事してるか判ってないな。
「っ…その女性を離せ!」
……軍警か…。
下手な事すると私もお縄になりそうだ。
「この女は人質だ。見りゃ判るだろ」
『悪いのだけど、貴方の為に人質の任を全うする気は有りません』
首に添えられた腕を捻ってナイフを取り上げる。
『それと…私の手を引いて抱き寄せて良いのは美男なジェントルマンだけ。覚えといてください』
そう云って手を
瞬間、私を目掛けて飛んでくるナイフ。
此奴…異能力者だ…。
「なら要らない。今此処で死んでもらおう」
『ハッ…誰に喧嘩売ってるか判って云ってンだよね』
恐らく相手は触れた物を自在に操る能力を持っている。だけど、私は何ともならないから無機物あたりが限界なのだろう。
こんな奴の為に異能を遣ってマフィアだと勘づかれるのも面倒だ。
と、色々考えながらもナイフの飛行は止まらない。
挙句、小石まで飛んでくる始末だ。近付けないのが現状。
「こんな所で女性と遊ぶとは…趣味が悪いよ?」
その声が聞こえた途端、飛んでいたナイフや小石が地面に墜ちた。
その隙に軍警の輩が男を捕らえた。
そのまま男は連行され、路地裏に残ったのは私と彼だけ。
異能力を無効化する奴なんて、1人しか居ない。
『久しぶりだね。少し老けたンじゃない、太宰』
「君は相変わらず餓鬼っぽいね、A」
嗚呼、腹が立つ。
誰が餓鬼だい、誰が。
『答えろよ。今何処で何してる』
「日々自 殺に励んでいるよ」
『この前川辺で見かけた。国木田って奴と一緒に居ただろう』
「嗚呼、彼は同僚だよ」
『あの眼鏡はこの前芥川くんと交戦してる。真逆とは思うけど、武装探偵社に居るとか云わないよね』
そう云うと、彼は口元に笑みを湛えて云った。
「その真逆だよ。じゃあ、彼のチビにも宜しく」
私は絶句したまま、去りゆく背を見る事しかできなかった。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時