重力、夢中力【文豪ストレイドッグス】【中原中也】

(15)雨が酷くなつた ページ17

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『何で雨降ってンのさ中也…』

「逆に何で俺のせいみたいな云い方してンだよ」


今日の天気は生憎…かどうか判らないけど雨。


「さっさと行くぞ」

『ねぇ傘はー？』

「荷物になるだろうが。大体、小雨だろ」


そう云うと、中也はさっさと歩き出してしまった。
えー、雨に打たれるの好きじゃないのに…
グチグチいいながらも送迎の車に乗り込む。


「港まで連れてけ」

「はい」

黒に身を包んだ運転手がアクセルを踏んだ。



『歩くのー？…疲れンじゃん』


「俺ら2人だけの任務だからな。我慢しろ」


『傘はー？濡れるの嫌だよ私』


「まだ執着するか手前は！」



其の様な感じで毎度の口論をしているうちに、黒い自動車は、港へ到着する。

今回、相手側からの指定は「相模湾沿岸の倉庫」ということだけ。

だから、此方側(マフィア)からは「８番倉庫」という要望を出した。
理由は２つあって、１つ目は現在使われていない倉庫だから。２つ目は海へ飛び込む以外に逃亡の選択肢が無いから。

了承の返信は無いが、要望は呑まれて今夜奴等は其処へ来る。

奴等の目的は「捕縛」「脅迫」「殺害」。
ポートマフィアの人間に会わなければ何も始まらないのだ。



其の８番倉庫は今いる港の入口から700ｍある。





『今のうちに確認するけど、私は正面突破でいいのね？』


「嗚呼。奴等の気を引いて、出来るだけ多くの瞳を見ろ。一瞬でも目線が合えば効くだろ」


『うん。で、そしたら中也が怪盗宜しく空から降ってくるのか』


「怪盗宜しくかは知らねェがな」



いつの間にか現在地は８番倉庫。

意外と早足なのね、私等…



「あと5分もすりゃあ来る」


『じゃあ後でね』


「おう」


『合図は…』






「『雨が酷くなった』」





「だろ？」

『わかってンじゃん…！』

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