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8月31日 ページ5

「友達のお誕生日を祝うのなんて初めてだなあ、」

「オレも鈴姉ちゃんに誕生日を祝ってもらうのは初めてだよ〜」



にこにこと笑って首を傾げるAに、ゆるゆると緩みきった幸せそうな笑顔を浮かべている吊戯。ケーキ屋に来ている二人は窓際の席でお茶をしていた。テーブルの上には吊戯とAの好きな食べ物である苺を豪盛に使ったケーキがいくつかとそれぞれの飲み物があるだけ、綺麗な輪飾りも、お祝いらしいクラッカーの音もないが吊戯は幸せすぎて死にそうだった。

輪飾りを作ろうといえばAは楽しんでいくらでも準備をするだろうが、生憎誕生日会を経験したことがないAにそのような発想はなく……お互いの都合もあり、こうしてささやかな誕生日祝いが行われているのだ。



「ハッピバースデートゥーユーつるぎくん」

「ありがとう!!」

「つるぎくんは今年でええと……にじゅう、」

「気持ちは永遠の17歳って感じなんだけどね!」



慣れていない拙い発音でAは吊戯の誕生日を祝った。吊戯はAの言葉を遮って、ケーキ食べよう! と言う。本当ならAの方が年上のはずだが、現状ではAの方が10歳近く年下だ。誕生日を祝ってもらえるのは何より嬉しい、でもますます遠くなる気がして寂しいなあ、という風に吊戯は思っていた。



「そう言えば、鈴姉ちゃんの時は20年分の誕生日を祝わないとね!」

「私は祝われるよりお祝いするほうが好きなんだけどなあ」

「ええー、う〜ん、それじゃオレばかり幸せで鈴姉ちゃんに悪いよ」

「つるぎくんが嬉しそうなのが私も嬉しいから大丈夫だよ」



物凄く嬉しい事を言われている、と吊戯の顔はケーキの上の苺くらい赤くなった。にこにことしたいつもの優しい笑み。大好きな人から誕生日を祝われるっていうのはこんなにも嬉しい事なんだと、改めて思った。

熱い顔を手のひらで覆えば、案の定手から伝わるのは自分の顔の熱すぎる体温。



「これからは一緒に誕生日のお祝いできるね、つるぎくん」

「うん、……うん、オレいまちょっと泣きそう……」



これからは、またこうして一緒に誕生日を祝ってくれるんだって期待してもいいのかな。吊戯は熱い涙腺に目元をこする。目が赤くなっちゃうよ、と微笑みながら心配してくれる大好きな人。

これから先何年経っても、こうしてまた祝って欲しい。



「お誕生日おめでとう」



そう言って、大好きな貴女にも笑って欲しい。それだけでオレは幸せ。





8月31日 end

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ななえ - 更新を、、、、、たのむ、続きが読みたいんだ(バタッ) (2015年12月26日 8時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山鳥口十 | 作成日時:2015年8月31日 5時

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