【SERVAMP】私には姉御と呼んでくる舎弟、ではなく後輩がいる。

相談・９ ページ10

「君、迷子？」

「む？ 我が輩は迷子などではないぞ！」

「我が輩って……、さっきからこの辺うろうろしてるみたいだけど、何か探しもの？」



よく鉄と待ち合わせに使っている公園で、私は小学生くらいの男の子を見かけた。最初は遊んでいるのかとも思ったけど、十数分前くらいから木陰で一人きょろきょろとしているだけ。もう日も沈みかけている夕方なのに。……単眼鏡にマントを身につけて、おおよそ普通の小学生には見えないけども。それに我が輩って……。

気になって話しかけてみれば、男の子は待ち合わせをしている人物を探しておるのじゃ、と言った。



「本当は二人で来る予定でのう、それなのにぶかつ、とやらで少し遅くなるらしく、仕方なく我が輩がこうして先にここで待っておるのじゃ。」

「へー、待ち合わせか。ちっさいのに大変だね、私も人と約束があるんだ。一緒に待たない？」



ベンチを指差してみるけど、男の子は首を横に振った。聞けば日陰に居たいらしい。吸血鬼たるもの……と胸を張るように教えられたが、ああ、そういう年頃なんだと深く気にも止めなかった。うちの弟だって紙袋に穴開けて被って、ヒーローごっことかやってたし。

それにしても懐かしいな、吸血鬼、一時期流行った噂も過ぎ去ってしまえば、懐かしささえ感じる。でも小さい男の子を一人にしておくのはどうかとも思い、私はその場に腰を下ろした。都合よく持ってたパックのオレンジジュースと飲みかけのペットボトルを取り出し、鞄も地面に転げる。



「はい、この上座っていいよ。立ちっぱなしで疲れてるでしょ。」

「……お主、本当にいい娘じゃのう！」

「娘って……、あとこれオレンジジュースだけど、飲む？」

「！ 飲むのじゃ！」

「はいはい、ちょっと待ってストロー挿すから。ぎゅって握っちゃだめだよ」



凄い食いつきように子供は大体オレンジジュースが好きなんだな、と思った。子供の扱いなら得意なのにな、と男の子を見ながら、自分も飲みかけのペットボトルを口にする。片手で制服から携帯を取り出して画面を見ると、部活終わったから、すぐ行くというような文が鉄から送られてきていた。

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