相談・３０ ページ31
「オレの好きな物？」
「そうじゃ！ 無論Aに用意できるものにするのじゃぞ！」
「相談に乗ってくれたお礼ってことで何か考えといてよ」
出来る限り善処するから、とAは付け足した。礼なんて、と言いかけた鉄が言葉を止めたのは異論は認めないと言いたげなAの視線だった。鉄は少し考えるように宙を見て、思いつく。好きな物、ではなくある事に。
毎週のようにAと会えて、話して、時に遊びに行くことが出来たのは全てAが持ちかけてきた恋愛相談がきっかけだということに。それが解決した今は……。鉄が真剣に悩み始めた、と思ったAはそろそろ寝支度でもしにいくかと考えその場を立ち去ろうとした。
「……もう一度、Aの姉御が字を書くところを見たい。」
「……ん？」
背後からかけられた言葉は予想外で、足を止めたAは振り向く。鉄の中では懐かしい記憶が呼び起こされていて、あれほど綺麗にかっこ良く見えた姿をもう一度、見たいと思っていた。その旨を説明すれば、Aは悩むように額に手を置き、考えている。
「……いや、私は別にいいんだけどさ。鉄はそれでいいの？」
書道家でもないし、もう書道部に属しているわけでもないので上手く書ける自信もないのだが。鉄は違うというように、首を左右に振った。
「Aの姉御の字はすげー真っすぐだな、って思ってた。それを書いてる時のAの姉御も、そうじゃない時も、すげー真っ直ぐだ。」
「そういう、Aの姉御の真っ直ぐな所がオレは好きだ。」
「だから、また――――……」
まるで告白みたいだと人事のようにAは思った。だが、鉄の目は逸らされること無く真っ直ぐと至極真剣に、Aを見て好きだといった。言葉を理解して、顔に熱が集まる前に、続けられたその後、また相談、とか遊んだりとか、と言葉を濁すように言うから。Aは思わず笑ってしまった。
「いや、当たり前でしょ。相談が終わったからって鉄との関係まで消えちゃうわけじゃないって。」
「あと、私も鉄のことは好きだよ。だからさ、」
「いい加減、姉御って呼ぶのやめて欲しいんだけど」
目を瞬かせていた鉄も、その言葉に思わず笑みをこぼさずには居られない。相変わらず激しい雨音を僅かに聞きながらも、この場にあるのはそれさえもかき消すような柔らかな笑い声だった。いい先輩といい後輩という枠から一歩踏み出した。きっと、それは友達以上の物であることは違いない。
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ななえ - 面白かったです！！このかんじ大好きですぅ！！そしてヒューがかわいい！！原作とちがった面白さがあっていい！！ (2015年12月26日 7時) (
レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰 - 鉄が割と好き何ですがなかなか鉄がメインの小説がなくて…｡この作品は夢主ちゃんもいいですし鉄が何よりかっこよくていいと思います!!更新頑張って下さい!! (2015年8月8日 14時) (レス) id: bc679fe01c (このIDを非表示/違反報告)
Haltsu(プロフ) - 鉄くんが割とメインな作品って珍しいなーと思いました！個人的に夢主ちゃんの性格ドストライクです(*ﾟ∀ﾟ*)これからも頑張ってください！！更新楽しみにしてます！ (2015年7月31日 18時) (レス) id: ebc51c24b4 (このIDを非表示/違反報告)
ねこのふくろう(プロフ) - とても面白い作品ですね！早速お気に入りに入れてしまいました♪更新楽しみにしてます！僕(女です)も最近SERVAMPで吊戯の作品を作り始めたのですが……お互いゆっくり更新頑張りましょうね☆〜馴れ馴れしくてすみません…ｱﾊﾊ (2015年5月18日 2時) (レス) id: 04b47cc298 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - とても面白かったです！あまり無理はせずに更新頑張って下さい、楽しみにして待ってます♪( ´▽｀) (2015年5月17日 11時) (レス) id: 7dd9b77a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山鳥口十 | 作成日時：2015年5月17日 11時
