相談・２８ ページ29
「ゆくぞA！」
「いつでもいいよ、ヒュー」
雨は止むどころか勢いを増している気さえする。さすがに滝行しながら帰る気はない。財布はある、溜まりに溜まった白ノ湯温泉の割引券もある。此処から家までも距離があるし、好都合なことに空き部屋もあるという、……Aが取った行動は一つだった。
旅館に宿泊することを決めたAは風呂あがり、ヒューと卓球勝負を挑まれていた。卓球台の上に乗って慣れた手つきで球を打ち返すヒューがいつ落ちないか心配で胸中は落ち着かなかったが。
「ヒュー上手いね」
「ビリヤードも得意じゃぞ！」
「ビリヤードはやったことないかな」
そう言いながら打ち返した球は卓球台から逸れて、転がっていった。私の負け、と僅かに零れた笑みに、ヒューが我が輩の勝ちじゃ！ と眩い子供の笑顔で喜んでいた。汗をかかない程度に楽しみ、長椅子に座って休憩する。
「そういえば、Aの友達のスーちゃんとマーくんの事じゃが」
「……？ ……ああ、それなんだけど……」
誰だっけ、と一瞬悩んだ後スズの事をスーちゃん、城田真昼の事をマーくんと例えていたことを思い出す。雑な例え方のせいで一瞬忘れていた。ヒューに伝えるのを忘れていたと、結局どうなったのか所々端折りながらも話した。
「両想い？ だったみたいで、スーちゃんにもありがとうって言われたよ。結局、私が出しゃばる必要はなかったみたい」
「そんな事はないぞA。結果的にスーちゃんとマーくんが両想いを気づけたのはAのおかげかもしれん！」
「そうだといいかな」
「うむ！」
Aは微笑を浮かべて、よしよし、とヒューの頭を撫でた。おかげ、と言うなら鉄やヒューのおかげだと思いながら。実際、神代Aが行動したきっかけはヒューの恋愛講座が主なのだから。
「鉄にもお礼した方がいいのか。あいつ、何が好きなんだろ」
休日、鉄やヒューと出かけた時のことを思い返しながら、Aは考える。どうせなら好きな物をお礼としたい。思いつくのはこの白ノ湯温泉旅館ぐらいしか思いつかない。あと昆布茶と焼きまんじゅうが好きだって前言ってたっけ……。
ヒューはどこと無く優しい微笑を無意識に浮かべているAを見て、嬉しそうに目を細める。
「鉄はAと一緒ならばどんな事、どんな物であろうと嬉しいと思うのじゃ」
そうは言われても、それ一番難しいんだけど……。とAは笑顔で答えるヒューを見て、苦笑した。
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ななえ - 面白かったです！！このかんじ大好きですぅ！！そしてヒューがかわいい！！原作とちがった面白さがあっていい！！ (2015年12月26日 7時) (
レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰 - 鉄が割と好き何ですがなかなか鉄がメインの小説がなくて…｡この作品は夢主ちゃんもいいですし鉄が何よりかっこよくていいと思います!!更新頑張って下さい!! (2015年8月8日 14時) (レス) id: bc679fe01c (このIDを非表示/違反報告)
Haltsu(プロフ) - 鉄くんが割とメインな作品って珍しいなーと思いました！個人的に夢主ちゃんの性格ドストライクです(*ﾟ∀ﾟ*)これからも頑張ってください！！更新楽しみにしてます！ (2015年7月31日 18時) (レス) id: ebc51c24b4 (このIDを非表示/違反報告)
ねこのふくろう(プロフ) - とても面白い作品ですね！早速お気に入りに入れてしまいました♪更新楽しみにしてます！僕(女です)も最近SERVAMPで吊戯の作品を作り始めたのですが……お互いゆっくり更新頑張りましょうね☆〜馴れ馴れしくてすみません…ｱﾊﾊ (2015年5月18日 2時) (レス) id: 04b47cc298 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - とても面白かったです！あまり無理はせずに更新頑張って下さい、楽しみにして待ってます♪( ´▽｀) (2015年5月17日 11時) (レス) id: 7dd9b77a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山鳥口十 | 作成日時：2015年5月17日 11時
