【SERVAMP】神隠少女はにこにこ笑う

その三九、 ページ40

「少し首が痛いなあ」



首からぷらぷらと揺れる携帯を見つめてAは笑った。これは椿に今さっき付けられたものだ。携帯を持ち歩かないAが忘れないように、首にかけられるようネックストラップまで付けられている。



「Aは何度言っても度々携帯を忘れるからね」

「椿くんがいるから大丈夫だよ」

「…………それはそれ、これはこれ」



基本的にこの間の限界距離の一件があってからはAは誰か一緒に散歩に出るようになった。昔は一人でも全然構わなかった、むしろ一人が楽しかったはずなのに最近では誰かが傍にいないと落ち着かないとまで思うようになっていた。



「首が痛いのはそのうち慣れるよ」

「携帯壊れたりしない？」

「しないよ」



そうなんだ、とにこにこと笑ってAは首からさげてある携帯に触れた。買い与えてから暫く経つはずなのに傷一つなくほぼ新品同然である。Aは飛び跳ねたり走ったりすることは殆ど無い。ヒガンのようにうっかり物を落とすこともない。……というか携帯を殆ど持ち歩かない。

そこが悩みの種である椿は連絡手段くらいはしっかり持っていて欲しいと切実に思っていた。



「つばきゅーん！A！早くしてよォ〜！」

「今行くよ、ベル」



椿はAの手を握って、ベルキアの呼ぶ方へと向かった。

Aは椿を見上げて首を傾げる。最近椿は自分から手を握ってくれるようになったことが、不思議だった。前はAから手を繋いでいたというのに……。

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