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その三二、 ページ33

「A?」



Aはほぼ毎日のように散歩に出かける。椿は何時も自分がいるときはAと一緒に散歩に出かけ、どうしても外せない用があるときはベルキアやオトギリをAにつけていた。六時間以内には戻ってくるよ、とにこにこと笑いながら首を傾げるAだが、やはり椿は放っておけずにA一人で散歩に行かせたのは最初の一回だけだった。

今日は例のごとく椿は計画のお膳立てに出ていたのだが、帰ってみればAの姿がない。椿が朝早くに出かけた時は確かに部屋で寝ていたのに……。桜哉は学校へ行っているし、オトギリは朝八時くらいには一度見かけた、と。シャムロックは椿と出かけていたし……。



「部屋の何処探してもAがいないよォ!!つばきゅん!!」

「まッ……た、あの子は……ッ」



きっとまた誰にも言わずに散歩と称して放浪しているのだろう。

椿はぎり、と唇を噛むと携帯を取り出してAに電話をかけた。何度も呼び出し音がするが、電話は繋がらない。



「……出ない。」

「つばきゅん、どォするのォ!?」

「ふっ、大丈夫だよベル。」



椿は通話をやめると、あるアプリを起動した。登録してある携帯がどの位置にあるかをGPSで特定するものだ。Aが電話に出なかった時の対策として、携帯の位置を把握できるようにAの携帯にも事前に同じアプリをダウンロードしてあった。椿はそれを頼りに位置を探すが、携帯の位置は今椿の居る建物となっている。



「…………まさか。ちょっとベルキア、Aの部屋に行って携帯ないか探してきてくれない?」

「わ、わかったよォ〜!」



目の据わっている椿に気圧されるようにべルキアは慌ててAの部屋に向かった。そして、椿が見覚えのある携帯を持って帰ってきた。それは紛れも無くAに椿が与えた携帯だ。



「…………携帯は携帯しろって教えたはずなんだけどなぁ……?」



Aは早朝に椿が出かけたのを知らない、そして椿が帰ってくる前に散歩に出かけた。思わぬところで非常にまずいことになっている。Aは吸血鬼と主人が離れて体に異常が出始める六時間を誤認して出かけている可能性がある。椿はベルキアにもAを探すように言い、今日戻ってくるはずのヒガンに電話をかけた。

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ななえ - 何度読んでもやっぱり面白い!! この和やかな空気好きです!! (2015年12月26日 23時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
強欲 - 面白かったです!2部も頑張ってください! (2015年3月28日 18時) (レス) id: ec67facd63 (このIDを非表示/違反報告)
臨歌(プロフ) - 一部完結おめでとうございます!とても面白かったです、二部も楽しみに待ってますね! (2015年3月24日 16時) (レス) id: 71fa6fd779 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜(プロフ) - わぁぁぁ!!凄い面白いっ…!貴方の文才分けて下さ((( 続き楽しみにしてますっ!!更新頑張って下さい!! (2015年3月22日 20時) (レス) id: 5321145ad2 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - やばい。めっちゃ面白い。続き楽しみに待ってます! (2015年3月20日 23時) (レス) id: b9c63c61f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山鳥口十 | 作成日時:2015年3月18日 14時

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