その三一、 ページ32
――某所公園――
「久し振りだね盾ちゃん！遊びに来たよ！」
「ゆみとちゅるぎ！ぼーるあそびするー！」
「よしよしちゅるぎとボール遊びしようか！」
吊戯は車守盾一郎の息子を抱き上げてくるくると回った。
パパは――――!?と今さっきボール遊びをしていた息子が自分に目もくれないのでショックを受ける盾。
ベンチに座り、ボールで遊ぶ吊戯と息子を見ながら盾一郎は考え事をしていた。
頭をよぎるのはいつかこの公園で息子と遊んでいた時にボールを拾ってくれた少女のことで、今なら思い出せるような気がしている。
黒いセーラー服を着て、にこにこと笑っている鈴の音の少女。
「おっとごめんよ拓ちゃん！すぐに取ってくるからね！」
転がっていったボールを追いかける吊戯。
そう、吊戯。吊戯や弓、俺ともよく遊んでくれた――――……
「――――ああああああっ！思い出した……!!」
「……うるせえな、なんだよ盾」
「あの子……っ、……会ったんだよ！」
「はあ？誰に？」
「鈴に、鈴にそっくりだった。鈴と同じ女の子に、ここで会ったんだよ！」
「…………鈴姉ちゃん……？」
戻ってきた吊戯の手から、ボールが落ちる。
鈴谷A……、小一の終わりくらいの頃に突然行方不明になった年上の女の子。
一目見て何処か出会ったことがあると思ったのは、知っていたからだ。
すぐに気づかなかったのは、鈴が行方不明になった時のままの姿だったからだ。
鈴が行方不明になったのはもう20年ほど前……、鈴がいなくなった時の姿のまま戻ってきたのか。
それとも、全くの別人で他人の空似なのか。
生温い風が吹いた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななえ - 何度読んでもやっぱり面白い！！ この和やかな空気好きです！！ (2015年12月26日 23時) (
レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
強欲 - 面白かったです！2部も頑張ってください！ (2015年3月28日 18時) (レス) id: ec67facd63 (このIDを非表示/違反報告)
臨歌(プロフ) - 一部完結おめでとうございます！とても面白かったです、二部も楽しみに待ってますね！ (2015年3月24日 16時) (レス) id: 71fa6fd779 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜(プロフ) - わぁぁぁ！！凄い面白いっ…！貴方の文才分けて下さ((( 続き楽しみにしてますっ！！更新頑張って下さい！！ (2015年3月22日 20時) (レス) id: 5321145ad2 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - やばい。めっちゃ面白い。続き楽しみに待ってます！ (2015年3月20日 23時) (レス) id: b9c63c61f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山鳥口十 | 作成日時：2015年3月18日 14時
