【SERVAMP】神隠少女はにこにこ笑う

その二八、 ページ29

「お祭りで浴衣を着たのは久しぶりだなあ」

「Aが和服を着てるのは見慣れないね」

「私も椿くんがサングラスをしてないのは見慣れないよ」



椿や下位吸血鬼のみんなで地域の夏祭りに来ていた。せっかくだからと椿の言葉で、下位も含めてわざわざ浴衣をレンタルした。普段の黒いセーラー服ではなくレンタルした浴衣を着たA。椿は甚平を着ていて、サングラスも外しているので何処か見慣れない姿をしている。

何時もどおり、椿と手を繋いで人混みの中を歩く。沢山の屋台が並んでいた。



「ベルくんたこ焼き食べてるの？」

「Aにも一つあげるよォ〜」

「わあ、ありがとう」



いつの間にかさっそく食べ物を買ってきたベルキアが食べるたこ焼きをAが見つめていると、ベルは爪楊枝に刺したたこ焼きをAの口に入れた。椿はその光景を目を見開いて見つめた。余りに凝視しているのでAとベルも椿の表情を見て一緒に首を傾げる。



「どうしたのォつばきゅんっ」

「どうしたって……ベルキア……今……Aに……」

「椿くんも食べたいの？」

「いや……そうじゃなくて……っあは、あはっあはははは、あっはははははっ。あ――――……面白くない。」



椿は物凄い衝撃を受けていた。もう笑うしか無いくらいに。でもそれがなぜだと聞かれれば答えることなど出来ないわけで、椿もベルキアとダッツを半分に分けて食べることもよくあるのに、なぜこうも胸の中が気持ちが悪いのか。

疑問符を頭に浮かべながら、Aとベルは顔を見合わせて首を傾げた。とりあえず二人が分かることは椿はなんかよくわからないけれど機嫌が悪いらしいということだ。

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