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その二二、 ページ23

「今日はもう帰ろう、風邪を引いちゃうよ」

「……やだ、もっと鈴姉ちゃんといたい」



可愛い事言うなあ、とAは少年の頭を撫でた。いつもの様に休日に散歩にきていたのだが、まさか雪が降ってくるとは思わなかった。このままでは風邪を引くと思い、Aは諭すように少年に言った。



「風邪引いたら一緒に雪遊びできないでしょ?」

「…………。」

「あったかい格好をしてまた今度来ればいいよ」

「…………分かったよ、」

「ふふ、いい子いい子」



仕方なく、と言った様子で不満気ながら少年は頷いた。二人で今まで歩いてきた道を帰っていく。

他愛もない話をしながら、さながら本当の姉弟のように手を繋いで笑いあいながら、帰る途中でAがふと立ち止まった。鈴姉ちゃん?どうしたの?と繋いでいる手を引っ張りながら、Aを見上げる少年。神社の前で立ち止まりじぃと何も言わずに鳥居の奥を見つめている。


ちりん、と鈴の音が聞こえた。



「鈴姉ちゃん!!」

「ごめんね、立ち止まって。なんだか気になったから」

「……、うん」



少年は言いようのないような不安を感じ、ぎゅう、と握っている手に力を込めた。Aはにこりといつもの様に笑って首を傾げるだけだ。そのまま二人はいつもの公園に戻って、何時もどおりにさよならをした。



「鈴姉ちゃんまたね」

「うん。またね、つるぎくん」





その挨拶を最後に、鈴谷Aは行方不明になり、二度と少年と遊ぶことはなかった。





少年は何度も何度も探した、二人の男の子も一緒になって探した。



結局、発見できたのはAがいつも髪留めにつけていた小さな鈴が一つだけ。



そしてそれはあの雪の日にAが立ち止まった神社で見つかった。


少年はその小さな鈴を両手で抱きしめて、小さな小さな声で呟いた。





「鈴姉ちゃん……」






帰ってくる言葉はない。彼女は"神隠し"にあったのだから。



それでもその少年は、今もずっと――――……

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ななえ - 何度読んでもやっぱり面白い!! この和やかな空気好きです!! (2015年12月26日 23時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
強欲 - 面白かったです!2部も頑張ってください! (2015年3月28日 18時) (レス) id: ec67facd63 (このIDを非表示/違反報告)
臨歌(プロフ) - 一部完結おめでとうございます!とても面白かったです、二部も楽しみに待ってますね! (2015年3月24日 16時) (レス) id: 71fa6fd779 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜(プロフ) - わぁぁぁ!!凄い面白いっ…!貴方の文才分けて下さ((( 続き楽しみにしてますっ!!更新頑張って下さい!! (2015年3月22日 20時) (レス) id: 5321145ad2 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - やばい。めっちゃ面白い。続き楽しみに待ってます! (2015年3月20日 23時) (レス) id: b9c63c61f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山鳥口十 | 作成日時:2015年3月18日 14時

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