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その二〇、 ページ21

「その鈴、Aの宝物って言ってたけど貰い物?」

「うん。お祖母ちゃんに貰ったんだよ」



椿が聞いたのはAの後ろ髪の長い一房につけられた、髪留めの小さな鈴。ちりん、と揺れて音は鳴る。小さい鈴なのに、Aが歩くたび、とても澄んだ音を奏でている。椿と手を繋いで散歩をしながらAは懐かしむように話をしだした。



「魔除けなんだって」

「僕が貰ってもよかったの?」

「いいの。悪いものから守ってくれるらしいから」

「……守られなくても僕は大丈夫だけど。」

「椿くんは強い吸血鬼だからなあ、……じゃあ私だと思って守るのはどう?」

「どうって……」



首を傾げてにこりと笑うA。やっぱりおかしな事を言う子だな、と椿は思いながらもどこからか契約の時Aに貰った小さな鈴を取り出した。主人から貰った物を大事にするのは当たり前だ。

当たり前だけど……。椿はにこにことして言葉を待っているAを見て、呆れるように肩を落とした。それを見てあれ?とAはまた首を傾げる。



「僕がAとAから貰ったものを守るのは当たり前だよ。だって――――……君は僕の主人なんだから。」

「当たり前かあ、なんだか格好いいね椿くん」



少し驚くように目を見開いたAはにこにこした笑顔のまま、握っている椿の手を離さないように少し力を込めて握った。Aは当たり前という言葉が聞けてどこか嬉しさを感じていたのだが、椿としては自分の言った……主人だから、という言葉に違和感を感じていた。主人だから僕はAを守るのかな、そう考えて何故かもやもやとする。

本当はね、とAが言う。



「この鈴、三つあったんだ」

「三つ?僕の分をいれても二つしかないけど……無くしたの?」

「そうみたい。椿くんと初めて出会った時から二つしかなかったから、きっと昔に無くしちゃったんだね」



そんな何気ない会話をしながら、Aは昔の出来事を思い出していた。

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ななえ - 何度読んでもやっぱり面白い!! この和やかな空気好きです!! (2015年12月26日 23時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
強欲 - 面白かったです!2部も頑張ってください! (2015年3月28日 18時) (レス) id: ec67facd63 (このIDを非表示/違反報告)
臨歌(プロフ) - 一部完結おめでとうございます!とても面白かったです、二部も楽しみに待ってますね! (2015年3月24日 16時) (レス) id: 71fa6fd779 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜(プロフ) - わぁぁぁ!!凄い面白いっ…!貴方の文才分けて下さ((( 続き楽しみにしてますっ!!更新頑張って下さい!! (2015年3月22日 20時) (レス) id: 5321145ad2 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - やばい。めっちゃ面白い。続き楽しみに待ってます! (2015年3月20日 23時) (レス) id: b9c63c61f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山鳥口十 | 作成日時:2015年3月18日 14時

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