その一五六、 ページ14
「鈴谷A。椿の主人だけど、色々椿の事を忠告してくれてて、コンサートホール襲撃の時も俺達が拠点にしてた所まで来て知らせてくれたんだ」
「……味方、って事っスか？ いくら主人でもそんな情報漏らしたりする人間、あいつがそのまんまにしとくとは思えないんスけど。」
ロウレスがあいつ、と言ったのは椿の事だ。御園も同じ事を気にしていた、人や下位を殺してまわっている奴にとって主人の命さえ何でもないだろう、と。Ｃ３に連れていかれたとはいえ、あの時Aが怪我も無く無事な様子だった事には御園も真昼も確かに安堵していた。
Aは確かに人間だが聞く所によると神隠しに遭っただの、20年前に失踪し行方不明になってただの、不明瞭な点が多すぎる。それは彼女の身辺がというだけではなく、彼女自身についても言える。
「やっぱりAと一度会って話を聞いておきたいな……」
「オレも椿について、一度サーヴァンプ7人全員で話し合っておきてーな……」
「！」
クロの言葉に真昼もロウレスも反応を示す。暴食も憤怒も今現在日本に居る、全員が日本に揃ってる。その現状に気づき、クロは訝しげに眉を顰めた。世界は広い、全員が同じ場所に集まるなんて事が偶然に起こった、とは余りに考え難い。7人が同じ場所に集まるのはあの人を殺す相談をした時以来、……今度は間違えない、クロは確たる意思の元そう言った。
「オレ達は椿を殺さない。オレ達が求めるのは今度こそ、対話だ。」
「ああ！」
「オレも賛成っス。協力するっスよ、あんな思いをするのはもうごめんっスからね」
その言葉に真昼は嬉しそうに笑う。めんどくせーけど、とクロが続けた余計な一言を真昼は注意しながらも、クロが確かに過去の選択を間違えたと後悔して、向き合うという選択肢を選んでいる事に喜んでいた。その喜びも束の間、あれ？ と気づく様に声を上げるロウレス。
「――――っていうか、ホントに契約してるんならヤバくないっスか？」
「え？」
「その椿の主人、Ｃ３に連れてかれたんスよね。契約があるなら……」
限界距離が、と呟かれた言葉は真昼の顔を真っ青に染め上げるには十分だった。最後にAを目撃してから既に一週間は経っている。嫌な想像が頭を過ぎり始めるが、その時丁度ベランダに黒い烏と羽をまき散らしながら(リヒト曰く)堕天使が降り立つ。真昼は慌てて半ば飛びつく様に内情を知るであろうその男、狼谷吊戯にAの安否を尋ねるのだった。
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ゆき(プロフ) - とても素敵な作品ですね！更新頑張ってください！ (2017年8月2日 11時) (
レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - とても面白いです！！！続きを待ってます！！ (2017年7月21日 20時) (レス) id: 63ea325151 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - とても面白いです！！！続きを待ってます！！ (2017年7月21日 20時) (レス) id: 63ea325151 (このIDを非表示/違反報告)
ナガキ - とても面白かったです！続きを期待します。 (2016年5月6日 21時) (レス) id: c8f811e1da (このIDを非表示/違反報告)
ナガキ - 今日初めて貴方様の作品を拝見させて頂きました。 (2016年5月6日 21時) (レス) id: c8f811e1da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山鳥口十 | 作成日時：2016年3月18日 21時
