山田さんの病系日記。 (ページ3)

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涼介side

__金曜日。

七日に一度だけ来る俺に...俺達にとって特別な日。

事の発端はつい数ヶ月前の事だった。

俺は過去から現在まで永らく、

“ナルコレプシー”という病を患っていた。

“居眠り病”とも呼ばれるこの病気は
例え充分な睡眠をとっていても日中、

糸が切れたかの様に“ぷつり”と眠ってしまう病気。

つい数ヶ月前まではメンバーに
俺の患っている病の事を隠していた。

...というより隠せていた。

それも俺が、

“その時までは”軽度のナルコレプシーだったから。

一日一二回は酷く強烈な眠気に襲われるも
薬の用量を増やし服用すれば抑えられていて、

楽屋で急に寝落ちしても『疲れている』
とメンバーにはそう見てもらえていたんだ。

頻度も症状も比較的軽かった俺は、

仕事に大きな支障をきたすことなく過ごせていた。

だけど、

__全てが狂い始めたのは三ヶ月程前。

その日はいつも通り楽屋への道を歩いていた。

撮影の為台本を片手に握りながら。

でも次に俺の意識が戻った時には、

楽屋のソファに眠らされ大人数に囲まれていたんだ。

__あぁ、症状が出てしまったんだ。

そうはならなかった。

今までどんなに酷い際でも意識が飛ぶ前に、

『あぁ、倒れる。』

と感じしゃがみ込んでから倒れる様にしていた。

でも今は...。

俺が顔に手を添えれば顎の辺りにガーゼ。

何も考える間もなく顎から倒れていったんだ。

__何で、何で。

何かが狂い始めている。

俺がその晩駆け付けていたのは病院だった。

そして、

その夜は病院に泊まり検査を受け翌朝知らされた事。

__山田さんの病状は酷く悪化しています。

過度なスケジュールで削られ続けた睡眠時間。

それが継続され習慣化されたのが大きな原因だと。

『医師として正直今の服用量ですら勧められるものではありません。寧ろ用量を抑えて頂きたく...。』

涼介「じゃあ...俺はどうやって...。」

『...山田さんの症状は重度です。決して隠し切れるものではありません。...メンバーの皆さんにご自身の病の事をお話し下さい。』

そう告げられた。

いつかは言わなければいけない。

そんな事等の昔に分かっていたはずなのに。

優しくメンバー、大切なメンバー。

裏切られるはずがないのに。

それでも震える手は何で。

それでも強張る身体は何で。