不良の妹はやっぱり不良でして【坂田銀八】 (ページ11)

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１１話ページ11

『借りなきゃ良かった......』

東城に会って数分
後少しで今日最後の授業が始まるという時に東城に借りたエプロンを見、そして後悔した
レースが沢山ついた黒のエプロン

しかし他に２着も持ってきている人は居ないだろう

サボろうかと思ったがお妙ちゃんに止められた

しょうがない！と腹を括り、背中でエプロンの紐を結んだ

着てみても特にからかわれることが無かったから良かった、あったら俺は海に身を投じていただろう

「今日は各々でデザートをつくってね
担任の先生に全員１つ渡すわよ」

...そんなに時間ねーだろーけど大丈夫なのか？

数分後、別の意味で大丈夫なのか、心配になった

ある者は大量のマヨネーズを、ある者は酢昆布をつかって食べてはいけない物をつくり
ある者はオーブンレンジを使って炭をつくった

あれらは食って大丈夫なのだろうか、初めて俺は担任の心配をした

「Aのうまそーネ！！」

ホールケーキをつくっている俺の耳元で叫んだのは他でもない、デザートの中に酢昆布を入れるという猛者、神楽ちゃんだった

『サンキュ、食ってみるか？』

そう聞いてみると、輝いた目で見られ

「A大好きアルー!!!」

と抱き付かれた

つくり終わったケーキを丁寧に８等分にして、１つを家庭科室にある白い皿へと乗せた

「......っ！」

『どうだ？？』

何も言わない神楽ちゃんに感想を訊ねた

「メチャクチャ上手いアル！！」

『良かった......』

「意外アル......
料理出来ないと思ってたネ...」

『一人暮らしも長いしな
甘味はあんまりつくんねーけど』

「Aって一人暮らしアルカ...
高杉と一緒かと思ってたネ」

『兄貴も一人暮らしだよ
今度ウチに遊びに来いよ』

右手で神楽ちゃんの頭をポンポンと軽く叩く

「......絶対行くアル!!!」

「はーい、使ったもの片付けてー」

「担任の先生に誰が渡すのかしら？」

全てを終わらせて座っている俺らに投げ掛けてくる

早く立候補してくんねーかな、なんて思いながらやはり降り止まなかった雨を窓越しに見ていた

「Aが行けば良いネ！」

神楽ちゃんがこっちを見てニヤニヤしている

「あら？じゃあ、それで良いわね
よろしくね高杉さん」

『......分かりましたー』

いつの間にか授業が終わっていて、家庭科室の後ろの方に居た東城に洗ってから返す、と声をかけて俺は神楽達と教室へと戻った