あなた達が嫌い。2【HQ】【歌い手】【裏切り】

あなた達が嫌い 81 ページ38

及川side__

俺が、もっと速く気付いていれば。

俺が、もっと周りを見られる人間だったら。

俺が、好きな人を守れる人だったら。

きっと、優ちゃんは助かっていたのかな。

キャプテンとして周りを見てる''つもり''でいたけど、そんなことなかった。

挙句の果てに、部の中のメンバーが傷つく様な結果を招いてしまった。

今、俺に出来ることは？？

優ちゃんが目覚めるその時まで、隣にいること。

目覚めた優ちゃんに誠心誠意謝ること。

そして、彩絵をどうにかすること。

今は念の為、合宿所の方にいるけどこれから親が迎えに来るらしい。

その間は監督達からの尋問と説教。

それでも反省の色が見えなかったら警察に連絡する、との事だった。

だけどそれじゃ、彩絵にとってなんの成長にもならないと思う。

だってあいつは心から笑ったり、泣いたりしたことがないと思うから。

いつも周りの人に慕われたい…''愛されたい''。

そんなことを意識するあまりあんな性格になってしまったのだろう。

俺は彩絵も悪いと思う。今回やったことは警察沙汰になるとんでもない事だ。

だが、親はどうだ…？？

愛されたいと思うのは、誰にも愛されていないから。

俺は1度だけ見てしまった。

俺が間違えて彩絵が着替えている更衣室に入った時、彩絵は今までに見たことがないくらい、悲しく、辛そうな顔をしていた。

そして、その彩絵の体にアザがあったのだ。


転んだ時に出来たのかと思ったが、転んだ時にできるような場所ではなかった。

きっと、虐待を受けていたのではないかと思っている。

家族にも愛されない。
友達にも、先輩にも。
逆に、親がいなくても色々な人に愛され、慕われてる優がとんでもなく憎かった。

だからといってやっていいことと悪いことがある。

俺は、彩絵を退部させたいわけじゃない。

助けたいんだ。優ちゃんも、彩絵も。

綺麗事を並べてる偽善者にしか見えなくてもいい。

優ちゃんが目覚めて謝ったら、彩絵に直接聞いてみるのだ。

そこからどうするかなんてまだ自分にも分からない。

だけど、優ちゃんだけを守る。というのはキャプテンとして筋違いだと思うから。

いつかまた、優ちゃんも彩絵も、そして青城メンバー全員で笑顔でバレーに打ち込める日が来るといいな、なんて考えてるのだ。


待っててね、二人とも。

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