379 ページ29
『トントンは卯月の事…知ってる？』
彼らなら知ってるだろうと、卯月の話を持ち掛けると
トントンは少しだけ難しそうな顔をしていて
聞いてはいけないことを聞いてしまったか……？
なんて思っていれば
「……言ってええんかな」
と私の顔を見つめるトントン
『出会いとかなら私も思い出したはず、なんだけど……』
「…………俺、見た事あってな……卯月さん」
『前世？みんなの話を聞いたけど、花屋だって……』
「ちゃうんよ、俺が卯月さんを見たのは」
「Aが殺された後、城内で」
「走って何処かに逃げる姿」
トントンのセリフに顔を上げる
彼は気まずそうにして、見間違いは無いと思うけど…と持っていた缶コーヒーを握る手に力が入っている
私が死んだ後の世界
それが本当の事なら
私は、卯月に殺されたのか
頭の中に浮かぶのは、燃えた図書館
そして私に突き刺さった剣
誰が私を殺したのか、それが分からない
記憶が曖昧で
思い出そうとすると、頭痛がして
心配そうに様子を伺うトントンは、私の肩に手を乗せた
「A、思い出そうとせんくても『私ばっかり、みんなを苦しめて』そんなこと」
『私ばっかり幸せで、呑気で……知らなきゃいけない現実さえ知らないフリして』
『楓ちゃんがグルッペンの隣にいるのを見てズルいなんて…都合が良すぎる』
『……みんな、苦しんだから』
『次は、私の番だよ』
まだ暖かいお茶を口に持っていき喉に通して、トントンの方を向く
泣きそうな、何か言いたそうな顔で
私の頬に手を添え
暖かくて大きな手が
綺麗な赤い目が
相変わらず優しいなぁなんて思ってしまう
『トントン泣かないで』
「……っ、1番辛いのは…Aやん」
『辛くないよ、みんなのおかげで前を向けてる…だから、知ってることや気になってる事…些細なことでいいから…教えて欲しい』
わがままでごめん
そう言えば、彼は腕で目を擦り
短く息を吐いてから口を開いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きー - お願いなんですが例えばグルさんがしゃべる時 gr「〜〜〜〜」みたいにその人の名前(？)を入れてほしいです。できればでよろしいのでお願いします (2020年3月18日 14時) (
レス) id: bd690c3b0a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんひな - 続きを読むたびにドキドキしてワクワクしてます！早くgrさんが思い出してくれないかなって思ってます。更新楽しみに待ってますね！ (2020年1月13日 15時) (レス) id: 894f831fc0 (このIDを非表示/違反報告)
水晶 - 続きが気になり過ぎて、読み終わるごとに発狂してます、grさんはどういう形で思い出すのか、本当に楽しみです！更新頑張って下さい！ (2020年1月13日 14時) (レス) id: 62648964a0 (このIDを非表示/違反報告)
はちまる(プロフ) - 虎徹さん» ありがとうございます〜！彼等に幸せを見せてあげられるよう頑張ります……！これからもよろしくお願いします！ (2020年1月11日 17時) (レス) id: 1addced01b (このIDを非表示/違反報告)
はちまる(プロフ) - せりんこ。さん» コメントありがとうございます！これからgrさんもmnちゃんも活躍していくので、暖かくみまもってあげていてください〜！ (2020年1月11日 17時) (レス) id: 1addced01b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
