439 ページ39
『……』
「昨日」
先に口を開いたのはグルッペンで
隣を歩く私のペースに合わせてゆっくり進む
グルッペンはこちらも見ずにただまっすぐ前を向いていて
「告白を受けてな」
聞きたくない言葉が、耳に入る
こんな時、なんて言えばいいのか
告白なんてよく受けるくせに
バレンタインだからだろうそんなの当たり前だ
まぁ詳しくいえば明日がバレンタインなのだが
学校で渡せるのはその翌日か昨日
明後日は混むだろうからなぁ
『そ、そうですか……グルッペンさんはモテモテですね〜！いいなぁ』
『えっと……』
「Aさんからは、ないのか」
『……っ』
バレンタイン
そう呟いた言葉が耳に入った
思わず足が止まる
グルッペンも少し先で足を止めて振り返った
何が正解なのか分からなくて
昔、外交とバレンタインの時期が被って仲のいい国だったから、わざわざ手作りをして持って行ったのを覚えている
オスマンに手伝ってもらいながら、チョコを持っていこうとして
グルッペンがすっごいヤキモチ妬いて不機嫌になってたっけ
『た、沢山貰えるじゃないですか』
「……そうだな、変なことを聞いてすまない」
寂しそうな顔をしないで
この選択は間違ってなかっただろうか
私は、今どんな顔をしているだろうか
上手く、笑えているだろうか
「家はこっちか？」
『あ……ここです、ここ』
ぼんやり歩いていたせいか、気がつけば2軒先が自分の家で
グルッペンは家の前まで送ってくれた
ありがとうございますと頭を下げ、家の方へ足を進めれば「Aさん」と名前を呼ばれる
『はい』
「……また、金曜日に」
グルッペンの優しい声が聞こえて、泣きそうになる
振り返って『また』と手を振り
そのまま背を向けて歩き始めたグルッペンを見送って、私は家の中へ入った
ベットに鞄を投げて自分の身を沈め息を吐く
告白をされた
楓ちゃんからだったら、彼はそれを受けとめるのだろうか
グルッペンが彼女のものになってしまう
それは嫌だと思ってしまうのは
……私が歪んでいるからだろうか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ﾏﾓﾙ - 小説タイトル｢414｣が抜けてますよー (2020年1月27日 10時) (
レス) id: b586f5dcc3 (このIDを非表示/違反報告)
ラテラル - 自分の靴の上にスノードロップがあったら普通に怖いですよね。読んでいたらこの花が出て来てビックリしました (2020年1月26日 22時) (レス) id: a6f89088d1 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 - じっくりと読んできましたが最高です。泣ける場面もあって…終わってほしくない！と思ってしまいます笑応援しております。頑張ってください！ (2020年1月26日 20時) (レス) id: 3cde28d88e (このIDを非表示/違反報告)
キアラ(プロフ) - 続きが気になるぅぅ!もう毎日！楽しみにしてます！もう通知が来たらはっ！転生しました｡か？って思ってすぐ占いツクールに来てしまいます笑とても面白いのでラストスパート頑張って下さい！ (2020年1月26日 10時) (レス) id: 9f6d02a74a (このIDを非表示/違反報告)
ロア - 面白すぎて泣きそう色んな意味ですごいです！これからも楽しみにしてます！ (2020年1月20日 18時) (レス) id: 4d25c318a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
