14 カニ ページ14
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今日はドキドキさせられっぱなしで。
ちょっと心臓が疲れてきた。
また、手を引かれて歩き始めたけど、今だって、とってもドキドキしてる。
大貴「ここ！足元、気を付けて！」
岩だらけのその場所は、波があまりたってなくて、人もいないし、さっきの海水浴場とは別世界だった。
大貴「スマホ濡れちゃうといけないし、上、脱いだ方がいいよ」
え？脱ぐの？
恥ずかしいよ････
誰もいないし・・なんて付け加えられたけど、見られたら一番恥ずかしい人がいるから、その言葉では、脱げません。
大貴「なんで。嫌なの？」
ニコニコして言われて。
そんなもったいぶるのもおかしいし、あーって思ってポケットの物を岩の上に置いた時、ちょっと先の岩の上から
大貴「さっき、キレイだったよ」
なんて言われて、もう湯気が出てるんじゃないかと思うくらい、恥ずかしかった。
大ちゃんは、岩と岩の間をはいつくばってカニを探してた。
こっちを見てないスキに、パッと脱いで、大ちゃんのいる岩の方まで、ピョンピョンと近づいた。
A「ねえ、いた？」
大貴「おうっ･････ほらっ、あそこ！見える？」
A「え？どこ？････あっ、いたいた！」
大ちゃんが、そっと指を近づけてみるんだけど、やっぱり怖くて。
小さいカニなんだけどね。
こんな友達同士の会話も、やっぱり嬉しい。
誰にも邪魔されない、この空間。
幸せ････
A「ぎゃっ、やめてよ」
大ちゃん、親指と人さし指で、小さなカニの甲羅をつかんで、私の目の前に出した。
ビックリして、だいちゃんのその手首をつかんで、抵抗した。
大貴「わかった、わかった。すげーちからだな」
A「ちょっと」
大貴「はい、記念撮影するよ、カメラカメラ！」
慌ててパーカーの側に戻り、スマホを持ち、だいちゃんも途中までこちらに来て、自撮りでパシャリとした。
何度もシャッターを切ったけど、途中で私の目の前にカニを出されて、面白い顔になっちゃったり。
きっと里穂がいたら「何、いちゃついてんのよ」って言われたかもしれない。
カニを元の場所に戻した。
大貴「今度は、二人だけで撮ろうよ」
A「え…‥」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2016年10月4日 17時
