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家に着いて、部屋用の車いすに乗り変える。
高橋「丈くん、テレビ見ます？」
藤原「み、る。」
野球はもうシーズンは終わってもうたけど、何かバラエティーやってへんかなぁ程度に見ることがほとんどやねん。あと、年末になるにつれてお笑い系の番組増えるから嬉しいねん。
高橋「あ、お笑いやってますね。」
チャンネルを変えてくれて、俺は車いすから全く動けんからほんまありがたい。
高橋「俺、丈くんの手足になるんで。丈くんが動けんのなら俺が代わりに動くし。やから、バンバン言うてください。メンバーやし、そもそも後輩ですし。」
いつもなら「なんかウザいわぁ」とか言う恭平のドヤ顔が頼もしく見えてきた。
藤原「ほな、頼むわ。」
大橋「何見てるん？あ、お笑い？」
藤原「ネタ、ええよな。」
何か、今やってる芸人さんのネタが個人的ツボやねんけど分かるかな？
大橋「あー、確かにおもろいなぁ。丈くん好きなタイプやもんな。」
カニューレを付けたから、もう息苦しくて集中出来んことはなくなって。
人工呼吸器は呼吸を助けてくれるけど、付けたらもう喋れんくなるやんか。そしたらもうコミュニケーションをとるのは難しくなるやんか。俺は俺の言葉で伝えたいねん。やから、断ってん。
大橋「丈くん、あんな？藍沢先生から言われたんやけど、次の検診であの飲み物しか完全に喉通らんくなったら管で栄養摂取になるかもしらんって。」
藤原「まじ？」
大橋「丈くんはどうしたい？」
藤原「欲を言えば、まだ、みんなと、食べたい。けど、もうきついのも、分かっとる。」
それは本音やねん。もっとメンバーと笑いながら飯食って、そんでそれを何年も繰り返していくって。病気なのは俺やし、現実だって一番分かってるのは俺なはずやねんけど、なんでかいつも大橋には見透かされんねんな。
大橋「ふら、次の人の始まるで？」
管で栄養摂取となると、もうこいつらとはご飯時間はハブられるんかな？
大橋「丈くん、俺な？丈くんがどんな姿になっても味方やから。ハブることなんか絶対せんから。」
ほんまにそういう所ずるいよなぁ。
藤原「大橋が、俺の事、ほっとく、なんて、考えられん。いつも、そばに、居って、くれるから。」
やから、多少は素直になってもええよな？
大橋「分かってるやんか。」
藤原「あたり、前やろ。」
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作者名：おずんぼ | 作成日時：2022年8月29日 11時
