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丈くんは賛成してくれると思った。多分、それは大吾くんもそう。じゃなかったら、まず提案しとらんだろうし、こんなショックな顔をしとらん。
藤原「ごめん、そこ、座って？」
ゆっくり、ほんまにゆっくり座った。
西畑「なんで、治療せんの？」
藤原「生きたくないわけちゃうねん。俺は、最後まで俺の力で生きていきたい。もう身体を動かすことなんて出来ひんけど、けどまだ生きとる。俺の力で生きとる。薬に頼ることが怖いとかやなくて。確かに副作用は怖いけど、そうじゃない。これ以上苦しみながら生きていくなら、進行やからしゃないよなって思いたい。薬が合わんかったら？副作用も稀に出るものが出たら？俺はこの病気に最期まで戦えへんやん。俺の敵はこの病気や。俺の力で最期までこいつと戦いたい。」
しっかり俺らを捉えた丈くんの目は決意しか見えんくて。俺は頷くことしか出来んくて。
西畑「じゃあ丈くん、諦めるん？長く生きること。」
藤原「なんでそうなんねん。いつから俺は早く病気に負けることになってんねん。そんなに簡単には負けんよ。」
西畑「でもっ。」
藤原「言わんかったけど、人工呼吸器も付けんから。」
？？「はぁ！？丈くん何言うてんの！」
奥で作業しとった大橋くんが出てきた。
大橋「さっきの薬の話も聞いてたで？なぁ、どういうことなん。」
藤原「そのまんまや。俺は治療せんし、人工呼吸器も付けん。やから、呼吸が止まったら、そこで終わりやねん。」
大橋「なんで？」
藤原「じゃあ、長く人工呼吸器付けてどうするん。俺に大した夢も希望もないねん。」
西畑「生きるのに、長生きするのに理由いるんかな。」
藤原「何もないなら要らんかもやけど、俺は治療や。理由もない治療は意味ないんちゃうかな。」
丈くんの言ってることは合ってる。確かに意味もなく治療するって、何になるんやろうか。生きてほしいとか、せめて進行を止めたいって俺らだけが思ってて肝心の丈くんが思ってないってことやんな？ってことは、完全に押し付けてるやん。でも大吾くんに協力するって言っちゃった手前、もう引き下がれん。
道枝「あのっ。俺が今純粋に疑問に思ったことで、もしかしたら大吾くんを裏切ることになっちゃうかもしれないんですけど。丈くんは、病気関係なしに長く生きたいって思ってますか？」
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作者名：おずんぼ | 作成日時：2022年8月29日 11時
