秋、体育祭前 ページ13
カミングアウトから、翌日。
学校に、高橋さんが来なかった。
朝の会、出席を取るときに先生が熱で休みだと言った。
去年1年間と今までに休んだことがなかったから、心配だった。
友達が休むことさえも、初めてだった。
ノートをガチで取って、写メで送った。
少しだけ会話して、という3日間を過ごした。
また、LINEでメッセージを送ったら、スタンプが返ってきた。
だいぶ良くなったみたいで、そこから30分ほどは会話した。
久々に、会話が出来た。
戻ってきたのは、
社会の授業でSDGsについてやることになった。
先生の説明が、何時間か続いた。
Chromebookを使って、調べものをすることになった。
自分が気になる項目について。そして、それを解決するために必要な権利を考える。ということ。
迷わず、国や人の不平等をなくそう、にした。
そして、同性同士でも結婚できる権利、法律を作った。
最後には、自分の事を自分だとバレないように書いた。
発表を聞いたり、している間にすごく思ったことがある。
たくさんの人が、LGBTについて触れていてくれた。
興味をもって、正しい知識をつけることは、こちらサイドとしても嬉しい。
けど、その他の人だ。
絶対に聞いていないだろう。
貼られた写真を、受け狙いだと思っているだろう。
なんなら、発表している人さえも、そう思っているのかもしれない。
調べて、このクラスにいてもおかしくないことが分かったのに、なぜ出来る？
隣のやつがそうだと思ったことはあるか？
自分がそうなるかもしれないと、思ったことはあるのか？
元々ノンケだった人も、同性愛者、両性愛者になりかねない。
異性にひどいフラれかたをして、慰めてくれた同性の友達を好きになった。
何てこともあり得るらしい。
つまり、誰でもなれるわけだ。
もちろん、今まで誰のことも好きになったことの無い人だって、LGBTQなどに当てはまるかもしれない。
身近じゃないから。
そうやって能天気にやってやれるんだ。
自分だってそうだった。
こうなる前に、自分が同性愛者になるだなんて、1秒も思ったことはなかった。
他の世界の話だと思っていた。
だから、誰も責められないはずなのに。
当事者からしたら、どこかその空間さえも辛かった。
理解してくれる人が増えたと言うのに。
なぜかは分からないけど。
そんな感じで、過ごした秋前半。
段々、体育祭が近づいてきた。
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作者名：おずんぼ | 作成日時：2022年1月3日 20時
