3 ページ32
・
翔の質問に答えなかったのは、概念的なことを考えるのが面倒だったせいもあるが、何より翔にその考えを話すのが気恥ずかしかったからだ。
大野は翔のことが好きだ。恋をしている相手に「恋とはこういうものである」などとのたまうのは、たとえ罰ゲームだったとしても悪趣味である。もちろん、大野の気持ちを知らない翔が大野の居心地の悪さに気づくわけもないのだが。
それゆえ、
「ねえ、智くんは恋したことある？」
と続けて問いかけてきた翔を責めることも、大野はできない。
「…うん。まあ、あるよ」
というか、今もしてるんだけどね。
「へー。恋するってどんな感じ？ 楽しい？」
「楽しい、ときもあるけど…そうじゃないときの方が多いかもね」
「何で？」
「自分の一方通行だったらつらいなって思うこともあるだろうし…あと、会えない人を好きでいるときとかは、苦しいんじゃないかな」
「ふうん…」
翔は、遠くを見ているような目つきになって黙り込んだ。
ずっと翔の世話をしてきた大野には、翔が考えていることが手に取るように分かった。案の定翔は、しばらくしてぽつりと
「佐伯さん、元気にしてるかな」
と呟いた。
「元気だと思うよ。相変わらず忙しくしてるみたい」
「そう…元気なんだ。よかった」
翔は小さく微笑むと、寝返りを打って大野に背を向けた。
・
・
ここに来る前、ふたりの間で何があったのか大野には分からない。けれど、翔が佐伯に特別な感情を抱いているのは明らかだった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 840人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
唯 - 優子さん» ありがとうございます。いつもにまして難産なお話になりそうです…気長に続きをお待ちください。 (2016年3月9日 3時) (
レス) id: 0f485288ef (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。これからどうなるか気になります。 (2016年3月2日 18時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 優子さん» ありがとうございます。プロポーズは大野さんが仕掛けるだろうと思われます。 (2016年2月28日 20時) (レス) id: 0f485288ef (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君の先生姿格好良いですね♪翔君可愛いですね♪プロポーズは智君から格好良く言うて欲しいですね♪ (2016年1月25日 23時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 優子さん» ありがとうございます。ギャップ王子な大野さんでした。翔くんは可愛い上に押しに弱いので、大野さんお気の毒です。 (2016年1月25日 20時) (レス) id: 0f485288ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唯 | 作成日時：2015年7月19日 23時
