3 ページ27
･
『あなたはねぇ、頭で色々考えすぎなのよ。もっとさぁ、感情の赴くままに動いてもいいんじゃないの』
いつだったか、ニノにそんなことを言われたことがある。
彼の言うことはよく分かるし、正しいに違いない。
(でも、それが簡単にできないから困ってるんじゃん…)
誰もがニノみたいにうまく立ち回れるわけではない。少なくとも、俺には無理だ。
甘え下手な自分が、ときどき嫌になる。
･
再び寝返りを打つと、智くんの置いて行ったスケッチブックが立てかけてあるのが目に入った。
どうせ寝れないし、と思ってベッドから起き上がり、それを手に取って開いてみた。
しばらく見ない間に、いくつか絵が増えている。オブジェか何かの構想図のようなものもあった。
ぱらぱらとめくるうち、現れた一枚の絵に、はっとした。
これは…もしかして、俺？
正確に言うと、俺ではない。俺がついこの間まで演じていた、栗原一止医師だ。
ぼさぼさの頭によれよれの白衣。首には聴診器が下がっていて、ポケットからは文庫本がはみ出している。
その絵の中で、俺は眼鏡の奥の瞳に優しい光を湛え、穏やかな笑みを浮かべていた。
･
(翔くんが無事に撮影を終えられますように。翔くん自身が納得できる、素晴らしい演技ができますように)
･
そう願いを込めながら筆を動かす智くんの姿が目に浮かんで、喉の奥を熱いものが込み上げてくるのが分かった。
智くん…やっぱりだめみたい。今の俺には、智くんがいてくれないと。
会いたい。早く帰ってきて。
スケッチブックを抱きしめてその場にへたり込み、ひとり声を上げて泣いた。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 799人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
唯 - 舜有さん» はわわ、憧れ…はわわ← あ、そういえばそうだったかも…じゃあ、バイトＯＫな高校ということですか？ …ま、まじすか…(汗)あんなにクオリティーの低いものをあれだけの分量読んで下さってるなんて…尊敬します！← (2013年4月12日 18時) (携帯から) (
レス) id: 5bcace1e05 (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 澪。さん» 初めまして、コメントありがとうございます。サクラ咲ケ、気に入っていただけたようで嬉しいです。更新頑張ります！ (2013年4月12日 18時) (携帯から) (レス) id: 5bcace1e05 (このIDを非表示/違反報告)
唯 - ちきさん» 続編ご希望いただきましてありがとうございます。気に入っていただけたようで嬉しいです。やっぱりＯＳですよねぇ。Ｏさんには、何となくたくさん我が儘を言ってＳさんを振り回してそうなイメージがあります(笑)これからもどうぞご贔屓に。 (2013年4月12日 18時) (携帯から) (レス) id: 5bcace1e05 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 続き読みたいです〜♪ (2013年4月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 4ba785f26d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 続きが読みたいです！ (2013年4月5日 15時) (レス) id: bc34b1c348 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唯 | 作成日時：2013年3月6日 14時
