あなたの名前は ページ8
「よし、」
マステラはベッドの上に鞄を置いた。その鞄は、色々荷物が入ってパンパンになっている。
「…一人旅してた頃は鞄なんて持ってなかったな…」
自分の旅路を思い出してみたが、こんな荷物が増える事は無かった。何かを備える余裕なんて無かった。
「っいけない、早く行かないと…表で皆が待ってる」
マステラは病室を出た。途中、看護師の人に会釈をしながら病院の1階の出口へ行く。
「あ!カナメさん、カナメさん!マステラちゃんが来ました!」
「本当ね!マステラー!こっちよ!」
カナメとフレイアがこちらに手を振っている。マキナとレイナも2人でくっついて手を振ってくれている。
美雲はいなかった。
「…っ、みなさ」
その時。
向こうの4人の後ろから、ビュンと黒い物が通っていく。
「うわわあ!!な、なんね!?」
フレイアが驚いて尻餅をついてしまった。
黒い物は、凄い勢いで飛び、マステラの顔に飛びついた。
「い゛っっ゛!!っな、何………!?!」
ミィ!と可愛い声がした。
「あ…あなた、あの時のウミネコ…!?」
「マステラ!大丈夫!?」
カナメはマステラの顔に引っ付いて離れないウミネコを、何とかして引き剥がす。
ウミネコはミー!と声を上げ、バタバタと抵抗している。
「……っっぷはっっ!!…あ、ありがとうございます…!!」
「よかった…って、あ!」
ウミネコは体をよじり、またマステラの方に飛んで行く。今度は何とかキャッチした。
「このウミネコ…マステラが飼ってるコ?」
「いえ…飼っているというか、入院する前少し一緒にいたのですが…」
「もしかして…このウミネコちゃん、マスマスが退院するのをずっと待ってたのかな?」
「ずっと一人かも」
「…そうなの?」
マステラが聞くと、ウミネコはミ!と小さく鳴いた。
「ごめん…一人にしちゃって…ありがとう」
マステラはウミネコをぎゅっと抱き締めた。
「…マステラ、この子に名前は無いの?」
「そういえば…付けてないです」
「じゃあ!マステラちゃん、今付けてあげれんかね?」
「名前…」
マステラはウミネコの顔をじっと見つめた。ウミネコは、綺麗な黒毛で、目は黄に近い色でまた綺麗だった。
「……」
「…回路がショート」
「うーんそうねぇ…」
「あ!そうだ、私達もね、ウミネコ飼ってるんだよ〜」
「キュルル」
「…キュルル…」
マステラは、ウミネコを抱き直す。
「…はい、決めました。」
「あなたは…クルル!」
クルルはまたミィ!と鳴いた。
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作者名:ちゃまろ。 | 作成日時:2020年3月11日 0時