自己中だね、ごめん〈arkt〉 (ページ8)

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だけどそんな伊野ちゃんなんて気にならない。
大ちゃんがいた事が嬉しくて、ゆっくりとそばによると強く抱きしめた。

大ちゃんはびっくりしたように肩をびくっと震わせたけどお構いなしに抱き締める。

「大ちゃん、よかった…」

安堵の声をあげてはーっと息を吐くと、
大ちゃんが「……ごめん」と謝ってきた。

…結局大ちゃんに謝らせてしまった…

俺もごめん、と謝ろうとしたらその言葉は伊野ちゃんによってかき消された。

「大ちゃんが謝ることないじゃん。圭人が悪いんだし」

冷たい声だった。

「大ちゃんも、さっき俺に言ったこと、ちゃんと圭人に伝えなよ。」

「…大ちゃん？なんのこと？」

伊野ちゃんの言葉の意味が理解できない。
大ちゃんは伊野ちゃんに何を、言ったの？

そっと大ちゃんを離すと大ちゃんは困ったように伊野ちゃんと俺を交互にみた。

「……大ちゃん。伊野ちゃんに、何言ったの？俺のこと、でしょ？」

嫌な予感しかしない。

これだけ目を腫らした大ちゃんを見て、良い話のわけがない。
鼓動が徐々に早くなる。

嫌だ、俺、大ちゃんまでも失いたくないよ？

「俺、さ…考えたんだけど、ちょっと、俺ら、距離、おかない？
お互いの気持ちの整理のために…」

ぽつりぽつりと話した大ちゃんに俺は反応もできずに聞くしかなかった。

……あぁ、やっぱり俺は嘘が苦手みたい

「……どうして？」

なるべく声が震えないように、
なるべく笑顔が崩れないように聞いた。

大ちゃんは少し息詰まったようにみえたけど、
また少しずつだけど話を始めた。

「…さっき、伊野ちゃんと話してて、
人それぞれだって分かってるけど、
伊野ちゃんたちと俺ら、全然違うじゃん…。圭人が初めから冷たい人ならわかるけど圭人、すげぇ優しいし、
…山田を見る目とかも優しくて…。
俺にも優しいけど、メンバーの時と一緒で…
俺、自信なくしてさ…？
本当に圭人は俺のこと好きなのかな、って…」

言いながら泣きそうになる大ちゃんを抱きしめて、「そんなことないよ」って言いたい。

…でもきっとそんなことしたら、だめなんだよね

知念が大ちゃんが可哀想、って言っていたのを思い出した。

俺はあの時かっとなったけど、知念は何も間違ってなんかなかったね

……こんなに大ちゃんを苦しめていたのか、俺は

俺が今できることは、大ちゃんの選んだ道に進むことなのかな？

「……大ちゃん、わかった」

俺がこくりとうなずくと、
また大ちゃんは泣きそうな顔をした