自己中だね、ごめん〈arkt〉 (ページ6)

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知念は俺と目があってもすぐに顔をそらし、
雄也に話しかけていった。

…まぁ、知念かって気まずいよな…

俺と知念との間に小さな溝が出来たまま、
収録が始まった。

収録のときはいつも通り、皆と話をして、
話題が振られれば知念と話すこともあった。

でも、収録がおわるとすぐに知念は薮ちゃんたちのところにいって俺に近寄ることはなかった。

……はぁ……

俺が謝れば済むのに、どうも謝るのに躊躇してしまう。

俺が浮かない顔をしながら帰る用意をしていると、山ちゃんが俺に話しかけてきた。

「………圭人、なんか元気なくね？」

心配そうに俺を見つめてきた。

「そ、そう…？少し疲れてるのかも」

こんな状況とは言え、話しかけてくれたことが嬉しくて自然に小さな笑顔が出ると山ちゃんは少しだけほっとした表情をした。

「お前、仕事すくねぇくせに疲れてんなよ」

いつもと同じ俺をからかうような発言に、
俺は嬉しくなった。

……俺と山ちゃんの関係は、変わってない

「そういうときもあるの。最近、暑いし」

えへへっと笑いながら言えば山ちゃんとの話が徐々に弾んでいく。

そういえば伊野ちゃんは、と思って周りを軽く見ながら話をしていると伊野ちゃんの姿を捉えた。

…大ちゃんと楽しそうに話してる

二人の距離は勘違いしそうなほど近い。

急に黙った俺に不思議そうな山ちゃんが視線の先を追うと「あ！？」と声を上げた。

その声にはっとなって山ちゃんをみるとむっとしたように口をとがらせている。

「伊野ちゃん！！なに浮気してんの！？」

山ちゃんの言葉に伊野ちゃんが気づき、
その言葉にびっくりするくらい嬉しそうな顔をしていた。

「浮気じゃないよ！俺は山田だけだし！」

そう満面の笑みで言えばにこにこと笑いながら俺らのところにきて、山ちゃんをぎゅっと抱きしめた。

「ふふ、嫉妬した？ねぇ、嫉妬したの？」

あざとい、とはこういうことか…
誰をも魅了する綺麗な笑顔を山ちゃんだけに向けている。
こてん、と首を傾げる姿はもう女の子みたい。

山ちゃんははぁーっと大きな溜息を漏らし、
渋々頷いて

「嫉妬した、かな」

と言った。
またその言葉に伊野ちゃんは満足そうに微笑んで、「じゃあ構ってあげる」と山ちゃんの頭をよしよしと撫でている。

明らかに、女の子っぽいのは伊野ちゃんなのに身長の差からか違和感がない…