自己中だね、ごめん〈arkt〉 (ページ5)

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適当に歩いているけど頭の中には知念のことばかり。
…さっきの言い方はひどすぎた

なんであんな言い方しか出来なかったんだろう

「あー…もう、叫びたい気分」

憂鬱とはこういう事かな、

悩みしかないこの状況。
泣きたくなる。

「……あれ、圭人ー？」

俺が肩を落としていると後ろから声がかかった。
振り返るとそこにいたのは伊野ちゃんだった。

「圭人、もう来てるの？はやいね」

にこにこと笑顔で俺に近づいてくる。
最近山ちゃんといい感じなのかご機嫌だ。

「早く起きちゃってさ。伊野ちゃん一人？」

「うん！あ、さっき大ちゃんと会ったよ」

にやにやと俺を見てはつんと頬をついてきた。

「…そうなの？」

という俺の薄い反応に伊野ちゃんは不思議そうにして、

「うれしくないの？」

と聞いてきた。
…あぁ、そうか、普通は、うれしいのか

伊野ちゃんは黙った俺を見つめてきた。
…あ、これ、さっきみた
俺を見据える目だ

今の伊野ちゃんは山ちゃんの前で見せる伊野ちゃんじゃない。

……正直、怖い時の伊野ちゃんだ。
自分の気持ちを知られるような恐怖

「圭人って、もしかして、そんな大ちゃんの事好きじゃない？」

「………へ？」

俺の間抜けな声に伊野ちゃんは「んなことないかぁ」と笑いながら言って俺の手をつかむ

「はやく、いこー」

ぐいぐいと手を引っ張られて楽屋に連れてかれる。

……無理矢理感はつよいけど

楽屋に戻ると少しいなかった間に皆が集まっていた。

「あ、山田！来てたんだ！」

山ちゃんの姿を見た瞬間俺の手を離して山ちゃんのほうへと抱きつきにいく伊野ちゃん。
山ちゃんは嬉しそうに「おはよ」と言って伊野ちゃんを抱きしめていた。

…ほんと、仲いいなぁ、ふたり

「圭人、…おはよう」

大ちゃんが俺のところまでくるとえへへっと笑いながら言ってきた。
二人で会うときと雰囲気が違うから、なんだか不思議な感じ。

「おはよう大ちゃん。早めの撮影だけど、ちゃんと起きれたんだね」

朝の弱い大ちゃんだから、もう少し遅いと思ってた

「ん、当たり前じゃん！余裕だし」

こくこくと頷いたときにぴょこっと寝ぐせが見えて、そっとそこに触れると大ちゃんが不思議そうに首を傾げた。

「ここ、はねてる。急いできた？」

俺が首を傾げると大ちゃんがすぐに頷いた

「ん！だって、はやく圭人に会いたかったし」

………今のは、ちょっとずるい

少しだけ、きゅんっとして恥ずかしくて、
目をそらすと知念と目があった。

　