蒼い星 ページ9
S「潤、なんかこの涙おかしいよ?」
首を傾げながら翔がポケットから小瓶を取り出す。
S「すごくキレイだけど、ヒドく重たいんだ」
実験台の潤に両手で差し出す。
M「どれどれ…ふ〜ん…」
潤は窓辺にその小瓶をかざしたり軽く振ってみる。
M「これは悔し涙だね。最近珍しいな。この人はすごく頑張り屋さんだからね、その努力の方向を照らす星を作ってやりさえすればいいんだ。翔も作り方をしっかり覚えておくんだよ」
S「うん!まずはナニをする?」
M「こっちにおいで。」
潤が実験台の脇に翔を呼び、潤とおそろいの前掛けを付けてやる。翔の頬が誇らしげに紅潮する。
M「まずは成分を抽出するからアルコールランプで炙るよ。」
翔がてきぱきとフラスコやランプをセットしていく。
S「わぁ〜キレイ…潤、これナニ?」
M「努力の結晶だよ。次はそれを星の土に混ぜるから、ろくろを出して?」
S「アイアイサー!!」
丸くまとめられた星の原形がろくろに据えられ、潤は翔をその前に座らせる。
M「いい?完全な美しい球体を作るんだ。大事なのはろくろの中心を見極める事。」
S「本当に俺がやってイイの?」
M「やり直し出来るからね。一緒に手を持ってあげるよ。」
潤はニッコリ微笑みかけると、ゆっくりとろくろを回転させた。
後ろから翔を抱え込むように腕を回し、星の側面をそっと指先でなぞると少しずつ美しい曲線が生まれる。
S「わぁ…潤、すごいね!」
M「どう?わかった?今度は翔が一人でやってごらん。俺は食事の支度をしているから」
潤はせっかくの球体を一度つぶしてしまう。
S「あ…」
M「何度でもやり直し出来るからね。大事なのは中心を見極める事。頑張って!」
ポンと肩を叩いて潤は二階に上がっていった。
S「潤…」
不安げに階段を見つめていた翔だったが、涙を拾った時のあの真夜中のレッスン場で見た彼の顔を思い浮かべて
S「待っててね。翔が笑顔にしてあげるから!」
ろくろに向かい奮闘を始めた。
二階のキッチンでは潤がそっと秘密の小窓を開けていた。実はそこから一階の実験室が見えるようになっている。
M「翔も頑張れ!」
小さく呟くと鍋に湯を沸かし始める。
.
293人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*はな*(プロフ) - 今夜も梅雨の夜空……星も月も見えません…。こんな夜、星職人さん達は何をしているんでしょうね…。「は−し−ら−な−い−。」とか言われてるのかな。(^^)かわいい見習い職人さんにまた会いたくて、お話を読みに参りました。 (2014年6月27日 23時) (携帯から) (レス) id: 2a82fe1f9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - *はな*さん» そうですね。なんだかんだで見守るニノや丸太の上で固まる翔ちゃん…楽しく想像していただけたらいいな。 (2014年6月25日 20時) (レス) id: 9679011bf3 (このIDを非表示/違反報告)
*はな*(プロフ) - 嵐さんて、ひとりひとりの特徴がはっきりしているので、お話の中の登場人物の表情も思い浮かべやすいですよね。…今日は、相葉さん率高めでお話がより賑やかに♪楽しく読ませていただきました。 (2014年6月25日 20時) (携帯から) (レス) id: 2a82fe1f9f (このIDを非表示/違反報告)
ryou(プロフ) - ゆみさん» 確かにあれはキュートですね♪相葉ちゃんらしさ全開で見るとほっこりしますよね。まるでゆみさんの作品のようですねー(≧▽≦) (2014年6月25日 20時) (レス) id: fca6f438ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - ryouさん» 相葉ちゃんのミスドCMがキュートすぎて書いちゃいました~ (2014年6月25日 20時) (レス) id: afc9116f09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆみ
作成日時:2014年2月1日 17時