夜空を紡ぐふたり

八月の天の川 ページ29

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N「お二人さん！今日はこっちこっち！」

８月３０日。

八月の天の川をみんなで見る日。

ソワソワと落ち着かない二人がやってきたマサキのカフェ。

屋根の上からニノが手招きします。


M「…あ、涼しい」

カフェの屋上のテラスにはゆるやかな凪風がふわりと流れて

N「ど？ワタシの秋の新作。」

風職人のニノがにこりとします。


O「あ、オイラのかぼちゃも食べてね」

A「パンプキンパイにしました〜」

野菜職人の智の新作ですが…


M「えーっと地図…こっちが北で…翔、何時？」

S「もうそろそろ日没…」

お二人さんの目には入っていないよう。


ピンク色だった空がオレンジになり、やがてブルーに変わり…


A「わぁ…」

O「毎年だけど綺麗だね〜」

N「もしかして、翔さんのアレ？」


西の空。

小さな冠を戴いた星座。


O「あ〜ぽいねぇ」

A「え？なにっぽいの？」


S「あのね、潤をイメージして作ったの。王様みたいに堂々としてて、頭が良くて、綺麗で」

M「…」

ふと、潤の脳裏にあの実験室のスケッチブックがよぎり、コレかと合点がいく。


S「…それでね、あの」

また急いで言葉を紡ごうとする翔の唇を

潤の人差し指がそっとふさぐ。


M「うん。伝わるから。言葉なくても」

S「…？」


N「だーめ潤君、ちゃんと言葉で伝えなよ」

マサキも智も後ろで頷く。


M「…よく頑張りました。嬉しいよ//」

S「潤…//」


翔の風になびくやわらかな髪を

潤がそっとすくいあげて…



O「おっ、チューすんじゃねえか？」



不粋な智の一言で慌てて潤が手を引っ込める。


A「ヒューヒューだよ！」

N「ヤメなさいよッ！ほら翔ちゃん、ゲスなリーダーのかぼちゃ食べな？」

O「なんだよ〜ゲスって(笑)だってチューしそうだったじゃんかぁ」


再びワアワアと騒がしくなる屋上。


M「しねえよ！また明日から一緒に修業だからなッ！」

わざと乱暴に潤が翔の髪をかき乱せば

S「うんッ！ぁ、はい！」


照れた翔の背後で

西の空の小さな冠がキラリと光る。



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