夜空を紡ぐふたり

緑の呼び鈴 ページ20

A「いらっしゃい！」

キリッと蝶ネクタイを締めた雅紀の店は、時々この街の人々も訪れる喫茶店。

自家製のハーブティーとニノのパンがなかなかの人気。

今はcloseの看板がかけられ、バオバブハウスを囲むように咲く赤や紫のアネモネがゆらゆらと４人を迎え入れる。

S「ねぇねぇ、雅紀。サラバンって人知ってる？」

いきなり尋ねる翔に、一瞬目を丸くするが雅紀はニッコリ笑うと

A「ソレ重要？まあ座ってよ。翔ちゃんの好きなジャスミンティー、どうぞ！」

カップを手際よく大きなテーブルに並べる。

S「ふぁ…イイ香り〜」

客に合わせたハーブの絶妙なブレンドと、柔らかで人を癒やす物言いも雅紀の店の人気の秘密だ。


N「じゃあ作る？俺キュウリ」

S「えーっキュウリだけ？色んなのミックスで入れようよぉ」

むくれる翔にまたニノは鼻を鳴らして

N「ブリティッシュティータイムにはキュウリのサンドイッチって決まってんの。」

A「美味しいよねぇ〜キュウリとマヨ」

N「…マヨネーズ？邪道な！塩とバター、これが正式の…」

O「パン切れたよぉ！いいじゃん。ニノのやつと、後は具だけ準備して皆が好きなのを食べる時にはさもう」

M「だな。翔、おいで。この生クリームを…」

A「俺、飲み物準備するね」

O「オイラは野菜切ろうっと」

…


大きなテーブルの上には

ニノのキュウリサンドイッチ

智のトマト、レタスには雅紀こだわりの辛子をきかせた自家製マヨ

イチゴには翔がホイップした生クリームが添えられて。

潤もポテトサラダ、ゆで卵、チーズ、ハム…次々と並べていく。


O「…なんかイイ匂い。ニノそれは？」

N「ハムカツですけど。」

M「それのどこがブリティッシュなんだ(笑)」

S「そーだよ！キュウリだけのが正式なんだろ？」

N「ええ。でも」

トンと皿をテーブルに置くと

N「ボクはこういう下世話な食べ物が好きでね！」

A「ふふ(笑)ニノちゃんウィスターソースも好きだもんね。さ、食べよう！えーと何に乾杯？」

M「虹だよな？翔」

S「うん。さっきキレイな虹がね」

N「あー見た見た。虹始見だね。」

S「やっぱニノと潤て親戚？」

M「親戚とかじゃなくて常識なの。」

O「はいはい、グラス持って！
今年も美しい春の訪れに乾杯！！」


ハイボールがなみなみと注がれたグラスがぶつかり合い賑やかな音を立てる。


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