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夜空を紡ぐふたり ページ15

夕陽が山陰に沈んで少し経った頃。

実験室から翔が出てくる。

軽トラックの幌を開けて打ち上げの道具をもう一度確かめて、空を見上げ天候を確認する。

もう一度実験室に引っ込むと両手で大事そうに箱を抱えて慎重に助手席に乗り込む。

次に潤が運転席に乗り、ゆっくりとトラックは丘の頂上へ。

街全体が見える場所にトラックを止めると、翔がなにやらパチンコのようなものを取り出す。

潤が図面を睨む横で、そのパチンコのゴムを大きく伸ばして

S「このくらい?」と尋ねる。

M「ん…あと15度東へ。」

潤は細かに微調整して指示を出す。


やっと角度が決まった頃には辺りは漆黒の闇が広がっている。

M「今日は翔が打ち上げてごらん」

有無をいわさぬ表情で潤が言う。

S「…はい。」

翔は緊張の面もちで何度も手汗をズボンで拭い、ゆっくりと星をパチンコのゴムに引っかけて大きく腕を引く。



S「君に幸あれ!」



呟きと共に放たれた星が闇を突き進んでピタッと止まると美しい黄金色の輝きを放つ。


S「…見てくれたかな」

心配そうに小声になる翔に

M「見えなきゃ困るな。翔は誰の弟子だと思ってるの?」

潤が笑って優美な眉を片方上げた。



S「潤…ずっと翔のそばにいてね。」

キュッと抱きつく翔の小さな身体にそっと潤は腕を回す。そうだね。翔が一人前の星職人になるまでね…あとどれくらいかな?

M「…うん。」

端正な顔が少しだけ歪む。

M「ほら、帰ろう。夕飯はシチューだよ」

S「やったぁ!シチュー♪」

トラックに駆け上った翔が勢いよくドアを閉める。

M「だからドアは静かに!」

その日はまだ遠い気がして、潤の顔に微笑みが戻った。



再びトラックはゆるゆると白薔薇の道を抜けて二人の小さな実験室へ帰っていく。


(完)

.

あとがきとおまけ→←緑の星



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作品ジャンル:タレント
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*はな*(プロフ) - 今夜も梅雨の夜空……星も月も見えません…。こんな夜、星職人さん達は何をしているんでしょうね…。「は−し−ら−な−い−。」とか言われてるのかな。(^^)かわいい見習い職人さんにまた会いたくて、お話を読みに参りました。 (2014年6月27日 23時) (携帯から) (レス) id: 2a82fe1f9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - *はな*さん» そうですね。なんだかんだで見守るニノや丸太の上で固まる翔ちゃん…楽しく想像していただけたらいいな。 (2014年6月25日 20時) (レス) id: 9679011bf3 (このIDを非表示/違反報告)
*はな*(プロフ) - 嵐さんて、ひとりひとりの特徴がはっきりしているので、お話の中の登場人物の表情も思い浮かべやすいですよね。…今日は、相葉さん率高めでお話がより賑やかに♪楽しく読ませていただきました。 (2014年6月25日 20時) (携帯から) (レス) id: 2a82fe1f9f (このIDを非表示/違反報告)
ryou(プロフ) - ゆみさん» 確かにあれはキュートですね♪相葉ちゃんらしさ全開で見るとほっこりしますよね。まるでゆみさんの作品のようですねー(≧▽≦) (2014年6月25日 20時) (レス) id: fca6f438ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - ryouさん» 相葉ちゃんのミスドCMがキュートすぎて書いちゃいました~ (2014年6月25日 20時) (レス) id: afc9116f09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆみ
作成日時:2014年2月1日 17時

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