夜空を紡ぐふたり

休日 ページ11

M「翔、翔…？」

ベッドで大の字で眠る翔を揺らすと、目をこすりながら寝返りをうって又眠ろうとするから

M「ほら、良いお天気だよ！」

寝室のカーテンを勢いよく開けたら春の柔らかな光が翔の長い睫毛を照らして

S「…んぅ。おはよ、潤」

やっとベッドの上に起き上がる。

M「早く着替えておいで。朝ご飯だよ」

S「今日はナニ？」

M「TKG。小倉さんから産みたての卵をもらったんだ。」

S「マジ！？オグさんの卵は美味しいからね〜」

ニコニコの翔の髪を撫でて

M「今日はお休みだからちょっと遠くへお出かけしよう？」

そう言って炊きたてのご飯と卵、醤油をテーブルに並べる。

今朝、偶然見つけたふきのとうの味噌汁をよそいながら、相変わらずドタバタと派手に聞こえる翔の着がえの様子に苦笑いして。

今日は楽しい休日になりそうだ。

MS「「いただきます」」

S「ね〜お出かけって？どこ？街の商店街？」

M「それじゃいつもの買い物だろ(笑)今日は海に行こうと思って」

S「海？！翔、初めて見る！」

M「すごくキレイで勉強になるよ。カメラも持っていこう。」

S「うん！」

嬉しそうに頬をパンパンにしてご飯をかきこむから

M「その前に実験室の掃除と洗濯ね。」

と言うと

S「…ぶぅ。お休みなのにぃ」

唇を尖らせる。

M「お弁当はタマゴサンドにしようと思ったけど、ふてくされる子にはもったいないかなぁ」

下から顔を覗き込んでやると

S「やる！洗って洗って洗いまくりますッ！」

鼻息荒く答えた。

M「よろしい。」

笑いをかみ殺して味噌汁をすする。


朝食を終えたら

翔は実験室の掃除と、洗濯。

俺はキッチンで弁当作り。

表の井戸端から翔の調子が外れた鼻歌と、たぶん勢いよくゴシゴシと洗濯物をこするから

ふわふわと虹色のシャボン玉が二階の窓まで登ってくる。

ついつい俺も翔と同じ歌を口ずさみながら、パンを薄くスライスしていく。

俺のタマゴサンドはちょっと変わっていて、甘辛く煮付けた鶏そぼろを卵に混ぜて焼いたものをパンにはさむ。

水筒に珈琲を入れて、バスケットにレジャーシートやブランケットを詰めて…

M「…一応な。」

それとは別のトートバッグにタオルや着がえの洋服、下着も入れた。

初めての海。たくさん楽しんで、たくさん美しいモノを焼きつけてね。


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