真夏のサンタクロース ページ34
M「…ッ痛。」
遅番でゆっくり起きた朝。
すっかり眩しくなった太陽に寝返りをうつと頭に何かがぶつかる。
M「…？」
ベッドに吊された真っ赤なトナカイの靴下。
とりあえずそのままリビングへ。
S「潤、おはよう」
キッチンカウンターでカリカリと珈琲豆を挽く翔さんがニヤニヤと振り返った。
M「はよ。俺んとこに今ごろサンタ来たみたいなんだけど」
トナカイを振ってみせると、ニヤニヤのまま
S「あ〜少子化で子ども業界も厳しいからなぁ。真夏も営業してんだな。」
つか、アンタっしょ。
珈琲の匂いで目を覚ましつつ、トナカイの中に手を伸ばせば
M「目録…」
ご丁寧に水引のかかったアルバムみたいな薄い冊子。えっ？何？
S「中、早く見て。」
ぺらりと表紙を開くと、VANSのスニーカーの写真が何枚か。
どれも俺が好きな感じの派手目だけどちょっとクラシックなインパクトのあるプリント柄。
M「どれもかわいい！全部くれんの？」
S「残念！それ、ヴィンテージエルメスのスカーフ柄をプリントしたヤツで」
M「あっ！これがそうなんだ。確か非売品って聞いたけど。」
S「それがだね、潤君！」
超ドヤ顔で翔さんが指を横に振る。
S「岡田君のセレクトショップで、限定受注販売するんだな〜無理くり一足だけ受注枠、空けてもらいました！俺、スゴくね？」
M「スゴい。一足だけか〜迷うなぁ」
綺麗に冊子に入ったサンプル写真をまた最初から捲る。
S「二週間あるからゆっくり悩んで。で、発注からまた少しかかるから入荷は秋だね。
つうか、お前仕事。櫻井特製トースト早く食べて準備しねえと」
M「特製トーストってマーガリン塗っただけじゃん…ありがと。」
ちょっと照れくさいから、冊子を見つめたまま、つぶやけば
くしゃくしゃと頭を乱暴に撫で回された。
見ていないようで、俺のことを見ていてくれて
何もしてないようで、多分すごく探してくれて
そんなこの人の変わらない優しさが何年付き合っても大好きなんだけど
M「ねぇ、サンタはクリスマスだから誕生日関係なくない？」
どうにも口をついて出るのはそんな言葉で。
S「そう来たか〜よい子のご褒美なんだからどっちでもよくね？」
つぶらな瞳のサンタが笑って歯ブラシをくわえる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
shopin(プロフ) - はじめまして♪私は (2015年3月30日 10時) (
レス) id: afe33c612b (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ☆ミ(プロフ) - ゆみさん、お疲れさまでございました。 もちろんです！他の作品もステキですもん！ すっかりヒモショーラバーですし♪ いつもステキな作品ありがとうございます♪ (2014年12月1日 6時) (レス) id: de579950a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - ヒロ☆ミさん» いつもありがとうございます。全くの私事で、長年勤めた百貨店を退職しまして、しばらく百貨店の事から離れたいのが正直な所で。再開は確実にお約束できませんが、また他の作品でもお会いできたら嬉しいです。 (2014年12月1日 5時) (レス) id: 2efc07bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ☆ミ(プロフ) - 12月にはいった今、ここまで読み進めました。オシャレでほっこりでおいしくって。ほんとにだいすきです。山風百貨店が少しお休みということなので、ふたりの出逢いをおさらいしようかと♪ ご無理なさらずにゆみさんのペースでいらしてください。 (2014年12月1日 4時) (レス) id: de579950a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - みーさん» はじめまして。何度も読み返してくださっているなんて、作者にとって一番嬉しいお言葉です。本当にありがとうございます。 (2014年10月26日 3時) (レス) id: 2efc07bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆみ
作成日時：2014年3月15日 17時
