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その前に、翔くんを俺から引き離そうと決心して、
結局出た言葉は、守りたかった翔くんを泣かしてる。



なのに、この腕も離せないんだから、


翔くんの言うように、俺は勇気のない意気地無しだ。




「……中途半端な同情で優しくすんなよ」



その言葉には、カチンときた。確かに俺はどうすればいいのかぐるぐる悩んで、翔くんが嫌がる言葉を、傷つく言葉を投げかけたけど。翔くんだって、俺の気持ちなんか知らねぇのに。


「同情じゃないなら、良いのかよ」
「は?」
「同情じゃない、から、困ってるってのに」
「……は?」


俺の言葉に、翔くんはきょとんと見てくる。可愛いな、ちくしょう。その子供っぽいところを、守りたいのに、汚したいなんて。


「ぅわっ…んぅ!」


ぐいっと引き寄せて、倒れこんだ翔くんを受け止めて、ぷっくりしてる唇に俺のを重ねた。


あーあ。手を出す前に、逃がしてやろうと思ってたはずなのに。


「…ぇ、え??」
「こーゆーこと、したい気持ちだよ。子供じゃねぇんだから、わかるよな?」


ぶあって赤くなった顔に、この一週間で溜め込んだ思いとさっきの仕返しが出来て充たされた。


だから、翔くんの腕を離して背中を向けた。ここは、大人の意地だ。あの、オッサンみたいなことを翔くんにしないための。
綺麗なままで、出ていけるように。


「わかったら、……家に、ちゃんと帰れ」
「……やだっていったら?」
「おまっ!?……襲うぞ」
「……いいよ?」


なのに、背中に感じるのは、この一週間で馴染んだ温もり。
抱きついた翔くんの声が、背中から心臓に直接響く。ああ、どうしてくれるんだよ。俺の総動員した大人の判断を!


「ばかやろ。一線越える、勇気はあるのか?」
「智くんになら、……いくらでも」


振り向いた俺を迎えたのは、今まで見たより一番綺麗な笑顔。
真っ直ぐ見上げてくる目には、強さと決意を感じる意志があった。


「まぢか…」
「確かめてみる?」


呆然としてる俺に、悪戯っ子な唇が押し当てられた。


「智くん、好、」
「あ!でも、翔くんが高校卒業するまで、手は出さねぇから」


うっとりしてる翔くんを引き剥がして、宣言する。ここはやっぱ、なんと言っても大人として大事なとこだからな!


流される前に、そう決意を口にした俺に、今度は翔くんが信じられないって顔をした。


「まぢで?」


こうして、俺らの同居生活はスタートした。

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大翔(プロフ) - きよさん» リスの翔ちゃん自分でもどこで書いたか忘れてた作品だったんで笑笑覚えててくださって本当に嬉しいです!今でも2人とも幸せに暮らしてるそうですねー!また思い出したら書くのでこれからもよろしくお願いします! (2021年1月22日 0時) (レス) id: 52be1d4475 (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - 子リスの翔ちゃん、智くんと無事に暮らしていたんですね。良かった(^-^)/ 酔ったとはいえ智くんを振り回す強者!大人の翔ちゃんはどんなでしょうか続編楽しみにしています。 (2021年1月21日 13時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大翔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月6日 22時

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