Season

夏疾風 ページ8

定期テストも終わり、7月に入り、衣替えの季節、見飽きた制服なはずなのに翔ちゃんが着てるのを見ると心が踊るのは晴れて昇進した俺らの関係性のおかげ




「おーちゃん！凄いねー！彼女ちゃん1位だったー！自慢の彼女じゃんか！」




そう、相葉ちゃんが言う通り、相変わらず翔ちゃんは可愛いし頭もいいしこの前のテストでは学年トップの成績…張り出されるランキング表にすら入らなかった圏外の俺とは大違い




そういえばこの前の定期テストが終わってから気になることが一つ





「あ、智くん…教科書忘れちゃったの…一緒に見せて」




最近教科書やら筆箱の忘れが多くなったこと、まぁ俺としては授業中にくっつけるし最高なんだけどさ、今まで先月はそんなこと1回もなかったから





決定的におかしいなと思ったのは小さな違和感を感じ始めてから1週間が経った頃だった




「あれ？翔ちゃん…足どうしたの？…」




何故か学校の来客用スリッパを履いて登校してきた翔ちゃん、ビックリして聞くと無理やり笑顔を作ってさ





「上履きね〜、昨日掃除中に汚しちゃったから持って帰って洗ったの、今乾かし中〜」





嘘、今週は翔ちゃんが下駄箱掃除係で俺は廊下掃除係だったから分かる、廊下から下駄箱の様子見えるからずっと見てたもん




なんで嘘を付くのか、何で最近忘れ物が多いのか…気になっても聞けなかったのは俺の弱さ、最悪の事態が起きるのは違和感を感じてから2週間後…夏休みを目前にした7月の終わりの事だった






「大野〜、お前今週週番だろ？ちょっと手伝って欲しい事があってさ、6時間目終わったらダッシュで職員室、よろしくな〜」





滅多にない二宮先生からの頼み事、女子どもは羨ましー！って盛り上がってるけどカケラも嬉しくねーんだけど…





チェッ、しかも6時間目体育じゃねーか…職員室まで遠いし…怠いわ…





しかも今日の授業は短距離走、苦手なんだよなー、俺、この授業でテンション上がってるの相葉ちゃんくらいじゃね？あの人足早いしさ





そこそこ頑張って走って、トラックの向かい側で一生懸命不器用に走ってる可愛い彼女を眺めて、そんなこんなで授業が終わって着替える前にダッシュで職員室へ




「おー、大野あんがと、これ仕分けしたら体育倉庫に運んどいてくれない？先生腰痛くて無理ー」





備品整理役を任せられたらしい二宮先生の机の上には大量のボール…めんどくせー…

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