Season

2 ページ29

病院の表口にタクシーを止めてもらって猛ダッシュする、どこかで見たことある看護師さんに止められるけど今は構ってられない





「っ！智くん！あ、あそこ！」




翔ちゃんが叫びながら指差す方向を見るとそこには短歌に乗せられたまま唸ってる親父と楽しそうに立ってる二宮





「ちょっと！早く父を！手術してください！」





そんな訴えにも暗い顔をして頭を下げる看護師さん、なんで…




「申し訳ありません、たまたま今日は手術が立て込んでいて…申し訳ありません」




違う、もし本当にそうなら他の病院に運ばれるはずだし、二宮はこうなる事をどうやったか知らないけど計算して………ふと思い出したあの日の事……こうなったら一か八か、




「………待ってろ…俺はお前を許さねーぞ…」





どうにか助けてやる、俺の親父によって傷つけられた翔ちゃんも、二宮も、どこにいるかなんて当てもないけど…さっき歩いていった方向からして…





「はぁ、はぁ…あの人…ちょっ、あの！看護師さん！」




ようやく見つかった…



……………………



「なんで………潤が…ああなって…1番悲しんだのはあなたじゃない…同じ事をするの？同じ思いをする人を作るの？…」





知ってる、きっとあの殺人者みたいな冷酷な顔の和也さんの心を動かすことなんて私には出来ない…分かってはいたけど…私に出来るのはこんな陳腐な説得だけなんて…




「翔子が悪いんだよー、本当は息子に惚れさせて陥れてそこから親父まで腐らせてやろうと思ったのにあんな奴に惚れるから」





私のせい…あの冷たい顔も…全部全部私のせい…





「それにもう無理っしょ、ここの医局の人間の弱みはもう握ってるし？脳外科長なんて過去の医療ミスにビクビクして簡単に言うこと聞いてくれたよ、手術の予定表も手に入れたから本当に今日は誰も手当できる医者がいないのも確認済みだしな」





もともと頭のいい和也さんだもの…この計画に抜け目がないのは私がよくわかってる…どうにか、どうにか智くんのお父さんを救う手立てを…





ダメ………智くんがどこかに行っちゃった今私が考えなきゃ、私がこの人を救わなきゃいけないのに…泣いちゃダメ………





3人分の足音…気だるそうな気配…





「その患者…1000万で救ってやるよ」

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