仲直りの約束 ＊6/11 ページ27
だるい。
めちゃくちゃだるい。
私は病院の待合スペースのソファに、ぐでーっと凭れかかった。
やっぱり近くの病院にしとけばよかったな…
でも。
重い頭を上げて、人が行き来する通路に目をやる。
歩いてこないかな…和くん。
ぼんやりする頭で和くんのことを思いながら、通る人をぼーっと眺めた。
私の彼氏である和くんは医者で。
和くんが働いているこの病院まで、私の家からだと少し遠い。
それでも気づいたらここに足が向かってた。
普段だったら、風邪引いてもこんなことしない。
家の近くの病院に行く。
でも今は。
和くんと喧嘩中。
和くんと一週間以上も連絡を取ってなくて、そんな中風邪引いて、精神的にも体力的にも私はもうダメダメな状態。
和くん不足で、ただ会いたい気持ちが私の足を動かしていた。
「高倉さんー。高倉Aさんー」
結局、診察の順番を待ってる間に和くんの姿を見つけることはできなくて。
私は枯れた声で返事をして、ソファから立ち上がった。
.
「はい、じゃあ点滴しましょうか。あとは薬を出しておくので、しばらく家で安静にしていてくださいね」
「はい」
看護師さんに案内されて部屋を移動する。
ベッドに横になって点滴の処置をしてもらった。
「このまま少し休んでてください。終わる頃にまた来ますね」
「はい、ありがとうございます」
はぁ、と息を吐いて、目を閉じる。
こんなとこで何してんだろ、私。
早く和くんと仲直りしないとなのに。
和くんの病院に来たって会えないんだから、こんなことせず早く風邪治して普通に会おうって連絡すればいいのに。
…あぁ、だるい。
ネガティヴなことばかりが頭の中を占領していたら、ふと人の気配を感じた。
さっきの看護師さんかな。
重い瞼をゆっくり上げる。
ん…？
「……あれ」
見上げた先には、白衣のポケットに両手を突っ込んで、こっちをじっと見てる和くんがいた。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2017年8月3日 23時
