＊ ページ17
「潤くん？」
どうしたんだろ。
私も足を止めて、潤くんを見上げた。
潤「A」
「うん？」
潤「Aに言いたいことがある」
「…え」
言いたいこと？
真剣な表情に戸惑う。
潤「こんなこと言ったらもしかしたら引かれるかもしれないけど…」
潤「俺、やっぱりAのこと、もう妹みたいに思えない」
どくん。
まるで他の全ての音が消し去られたかのように、潤くんの声だけが私の耳に響いた。
潤「ついこの間までは妹みたいな存在だったはずなのに、少しずつ女の子としてAのこと意識し始めるようになってた」
「…っ」
潤「ほんとの妹じゃねぇんだから別におかしくないけど、なんかそういう気持ちの変化に追いつけない自分がいて。それにAにとって俺は近所の兄ちゃんだろうし、胸ん中に抑えてたんだけど。ごめん、やっぱ無理だわ」
ぐしゃと髪を触る潤くん。
ほんとに…？
夢じゃ、ないよね？
「潤くん…」
潤「…うん」
「私にとって、潤くんは…近所のお兄ちゃん以上の人だよ」
言葉にするのは初めてで、声が震える。
潤「え？」
「私にとって潤くんは、好きな人だよ」
潤「えっ…」
「潤くんが好き」
潤くんが目を見開いたまま固まってる。
私だってびっくりだよ。
まさか、潤くんがそんな風に思ってるなんて、これっぽっちも知らなかった。
「潤くん…っ」
潤くんの腕が伸びてきたと思ったら、ぎゅっと抱きしめられた。
潤「Aが好き」
「っ、…嬉しい」
潤「A」
顔を上げて、潤くんを見つめる。
潤「妹じゃなくて、俺の彼女になってください」
「っ、はい」
私は思いっきり頷いて、今度は自分から潤くんに抱きついた。
潤くんには一生追いつけないんだと思ってた。
でも、やっと妹を卒業することができたんだ。
これからは妹じゃなく彼女として、潤くんの隣にいさせてね。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2017年8月3日 23時
