さくらこ’s 短編集 (ページ13)

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夏の終わりに始まる恋＊8/31 ページ13

「潤くん！助けてー！」

階段を駆け上がった先のドアを開けて、私は叫んだ。

潤「そんな慌ててどうしたの笑」

ベッドに寝っ転がりながら本を読んでた潤くんが、その体勢のまま私に目を移して笑う。

「あれ…全然びっくりしてない」

潤「階段上る足音うるせぇから笑 Aだってバレバレ」

「もうー、つまんないの」

少しくらい乗ってくれたっていいじゃん。

また私のこと子供扱いして…

潤くんは、近所に住む幼なじみ。

3つ年が離れてることもあって、潤くんは私を妹のように可愛がってくれ、私もお兄ちゃんのように潤くんに懐いていた。

けど年を重ねるにつれ、潤くんは私にとって「お兄ちゃん」から「好きな人」に変わっていった。

この関係を壊したくないから告白はできずにいるけど、いつまでも妹でしかいられないのが嫌だった。

妹から成長したいのに。

潤くんに早く追いつきたいのに。

私が中学生になる時には潤くんが高校生になって。

私が高校生になる時には潤くんが大学生になる。

そして昨日、潤くんは20歳になった。

成人して、大人の仲間入りをした。

たった3歳、されど3歳。

いつまで経っても追いつけないのが悔しかった。

潤「で、何の用？」

ベッドから起き上がって腰掛けた潤くんが私に問う。

「…誕生日のお祝い」

潤「昨日盛大にしてくれたじゃん」

「そ、そうだけど。もう一度」

潤「嘘つけ。何か助けてほしいんだろ？」

「っ、」

潤「そのカバンの中に入ってるもん？」

見透かしたように私の肩に掛かってるカバンを顎で指した。