さくらこ’s 短編集 (ページ1)

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恋い焦がれて＊8/3 ページ1

ブーブー…

スマホが着信を告げる音。

飛びついて通知を見れば、それは会社の友達からのLINEだった。

ー今日飲み会あるからね！忘れないでね！

「分かってるってば」

はぁ、とため息をつく。

誰かから連絡が来るたびに期待して、通知を見て落胆する。

三年経ってもそれは未だに変わらない。

.

翔くんと最後に会ったのは三年前の春。

翔くんは決まっていた就職先を蹴って、海外へ旅立っていった。

そのことを翔くんに聞いた時が、大学を卒業する少し前で。

突然の告白に私は驚かずにはいられなかった。

「どういうこと？意味わかんないんだけど」

翔「ごめん、もう決めたことだから」

「私は翔くんの彼女でしょ？どうして相談してくれなかったの」

翔「それはほんとにごめん」

「ごめんばかり言われても…」

翔「絶対戻ってくるから。それまで待っててくれる？」

「え…？」

バッと顔を上げると、翔くんは真剣な表情で私を見つめていた。

翔「わがままなのは分かってる。でも待っててほしい」

毎日連絡することを約束して、私は翔くんと別れず待つことを決めた。

けど。

連絡は徐々に途絶え始め、終いには全く来なくなり、連絡がつかない状態になってしまった。